営業・カスタマーサポート・コンサルティングなど、顧客と向き合う仕事からキャリアチェンジを考えている方に向けた記事です。カスタマーサクセスは、契約後の顧客がサービスで成果を出し続けられるよう支援する職種です。SaaS・クラウド企業を中心に募集が増えており、顧客と向き合ってきた経験を生かして転職する人が多い仕事です。この記事では、カスタマーサクセスへの転職に向けて、年収・募集企業・評価される経験・キャリアパスを整理します。あわせて、外国籍の方が日本でカスタマーサクセスとして働く場合の在留資格や、企業の採用ポイントも解説します。
この記事の要点
- 募集の中心はBtoB向けのSaaS・クラウド企業。ERP・CRM・セキュリティなど領域は幅広い
- 評価されるのは顧客と向き合った経験。営業・サポート・コンサルからの転身が多い
- 年収は公的統計上の職種区分がなく、企業規模・日系/外資・フェーズで幅がある
- キャリアパスはマネージャー・PdM・事業企画など複数方向に開ける
- 外国籍の方の在留資格は技人国が代表的。主軸は人文知識、業務によって国際業務の要素も
目次
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスは、契約後の顧客がサービスを使って成果を出し続けられるよう、企業側から支援する職種です。問い合わせを待って対応するカスタマーサポートとは異なり、利用状況を見ながら能動的に働きかけ、顧客の継続利用や成果創出を担います。
この職種の意味・カスタマーサポートとの違い・なぜこの職種が生まれたのかといった基礎は、別の記事で詳しく整理しています。本記事は「カスタマーサクセスへ転職したい」方に向けて、転職に必要な情報に絞って解説します。
職種そのものを詳しく知りたい方へ
仕事内容・カスタマーサポートとの違い・NRRなどの指標については「カスタマーサクセスとは」で解説しています。まず職種を理解したい方はこちらをご覧ください。
カスタマーサクセスの仕事内容
転職を検討するうえで、業務の全体像を押さえておきましょう。カスタマーサクセスの主な業務は、契約直後の立ち上げ支援(オンボーディング)、利用状況を見ながらの活用支援、解約の兆候を数値で捉えるヘルススコア管理、契約更新やアップセルの提案、そして現場で拾った顧客の声を製品開発・営業へ橋渡しすることです。
顧客の規模に応じて、個別に手厚く対応する「ハイタッチ」と、メールや動画でまとめて届ける「テックタッチ」を使い分ける企業もあります。詳しい業務内容は「カスタマーサクセスとは」で解説しています。
カスタマーサクセスの年収
前提として、カスタマーサクセスには公的統計上の独立した職種区分がありません。国の賃金統計にこの職種が単独で設けられていないため、職種単位の一次統計は公開されていません。したがって、以下は民間の求人情報や人材サービスで見られる水準をもとにした整理であり、参考値として扱う必要があります。
実際の水準は、次の要素によって幅があります。数字そのものより、何で変わるかを押さえておくほうが、求人を見るときに役立ちます。
| 要素 | 傾向 |
|---|---|
| 企業規模・フェーズ | スタートアップと大手SaaSでは報酬体系が異なる。成長企業ではストックオプションが加わる場合もある |
| 日系/外資 | 外資系ソフトウェア企業では、本社水準に連動して高めになる例が見られる |
| 役割レベル | 担当(メンバー)とマネージャー・部門責任者では差が大きい |
| 担当顧客の規模 | 大手企業(エンタープライズ)を担当するほど、求められる水準も報酬も上がる傾向 |
年収について
民間の求人サービスでは500万円台から700万円前後を目安として示すものがありますが、これらは調査方法・母集団・集計時点が異なる推定値です。特定の求人に当てはまるものではなく、実際の金額は各求人で確認することになります。金額の断定ではなく、上記の「何で変わるか」を踏まえて検討するのが確実です。
募集している企業の特徴
カスタマーサクセスの求人は、契約後の継続利用が収益を左右するビジネスモデルの企業に集中しています。転職先を探すうえで、どんな領域の企業が募集しているかを知っておくと、求人の見え方が変わります。
- BtoB SaaS全般 — 業務ソフトを月額・年額で提供する企業。この職種の中心的な受け皿
- ERPベンダー・導入支援企業 — 基幹システムを提供・導入する企業。導入後の定着支援でカスタマーサクセスが機能する
- CRM・MA・営業支援ツール — 顧客管理・マーケティング自動化を提供する企業
- クラウドインフラ・開発ツール — 外資系を含むクラウド事業者。技術理解が求められる場面が多い
- セキュリティ・AI領域 — 専門性の高いプロダクトを扱い、顧客の運用定着を支援する
これらの領域は互いに近く、扱う製品の知識が転職市場での強みになります。特定の製品領域(ERP、SAP、クラウドなど)に詳しい人材は、その領域の企業で評価されやすくなります。そのため、特定領域での経験を持つ人は、その領域のカスタマーサクセスへキャリアチェンジしやすい傾向があります。
カスタマーサクセスへ転職するには
カスタマーサクセスの求人は、IT・SaaSに強い転職エージェントや転職サイトで多く扱われています。「カスタマーサクセス」「CS」「カスタマーサクセスマネージャー(CSM)」などのキーワードで探せます。
この職種の特徴は、必須の資格や決まった学歴がなく、前職での顧客経験が評価対象になることです。未経験の職種からいきなり就くというより、営業・カスタマーサポート・コンサルティング・事業会社の企画職など、顧客と向き合った経験を土台に移るのが一般的な道筋です。
選考では、担当した顧客とどう向き合い、どんな成果や継続につなげたかを、具体的に説明できることが重視されます。数字で語れる経験があると強みになります。求人に「未経験可」と書かれていても、顧客対応の経験をどう成果として伝えるかで、評価は大きく変わります。
評価される経験・スキル
カスタマーサクセスの選考で評価されやすいのは、次のような経験・スキルです。前職の種類ごとに、どう生きるかも整理します。
- 営業経験 — 顧客の課題を引き出し、提案する力。更新・アップセルの提案に直結する
- カスタマーサポート経験 — 顧客対応と製品知識。能動的な働きかけへ発展させられる
- コンサルティング経験 — 顧客の業務を構造で捉え、改善策を示す力
- データを読む力 — 利用ログや契約データから、成果が出ていない箇所を見つける
- 部門をまたぐ調整力 — 営業・製品開発・サポートと連携し、顧客の課題を社内で動かす
- 製品・業界の知識 — 扱う製品領域(会計、人事、マーケティング、インフラなど)への理解
語学力は、扱う顧客や企業によって求められ方が変わります。国内のBtoB顧客が中心なら日本語での折衝力が中心になり、外資系や海外本社との連携がある職場では英語が生きます。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 顧客の成果を自分ごととして考えられる | 売って終わり、と割り切りたい |
| 相手の業務を理解しようとする姿勢がある | 製品の操作説明だけで完結させたい |
| 数字や状況を見て先回りして動ける | 連絡が来てから対応する働き方を好む |
| 社内の複数部門と調整するのが苦にならない | 一人で完結する仕事を望む |
「向いていない人」に当てはまっても、それは適性の方向性の違いであり、優劣ではありません。たとえば売り切り型の提案が得意な人は営業職のほうが力を発揮しやすい、というだけのことです。
キャリアパス
カスタマーサクセスは、その後の進路が複数方向に開けている職種です。顧客の課題と製品の両方に触れるため、営業側にも製品側にも移りやすいのが特徴です。
| 方向 | 内容 |
|---|---|
| 組織を率いる | CSマネージャー、CS部門の責任者へ。チーム設計・指標管理・採用育成を担う |
| 専門性を深める | 特定の製品領域や大手顧客の担当へ。より複雑な案件を扱う |
| 隣接職種へ移る | 営業、プロダクトマネージャー、事業企画など、顧客理解を生かせる職種へ |
| 仕組みを設計する | CS Ops・RevOpsなど、支援の設計やデータ基盤の整備を担う役割へ |
外国籍の方もカスタマーサクセスとして働けるか
カスタマーサクセスは、外国籍の方が経験を生かしやすい職種のひとつです。募集の中心が外資系を含むSaaS・クラウド企業であり、海外本社と日本の顧客をつなぐ場面や、多言語での顧客対応が実務上必要になることがあるためです。前職での顧客経験が評価される職種であることも、これまでのキャリアを生かしやすい点です。
外国籍の方が日本でカスタマーサクセスとして働く場合、代表的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務(技人国)」です。ただし、技人国のどの区分に該当するかは、実際の業務内容によって変わります。
カスタマーサクセスと在留資格「技人国」
顧客業務の分析、導入・活用支援、契約更新に向けた提案などを中心とする場合、一般に「人文知識」(経済学・経営学などの知識を要する業務)に該当する可能性があります。海外本社との継続的な調整、多言語での顧客折衝、翻訳・通訳、海外取引などが主要業務に含まれる場合は、「国際業務」の要素を含むことがあります。実際の該当性は、職種名ではなく具体的な業務内容・学歴・専攻・職歴などをもとに、出入国在留管理庁が個別に審査します。
なお、国際業務として申請する場合は、翻訳・通訳や語学指導を除き、関連する業務について3年以上の実務経験が求められることがあります。また、2026年4月15日以降、一定の条件に該当する申請では、業務で使用する言語について語学能力を証する資料の提出が求められる場合があります。対象となる機関の区分や業務内容などの条件があるため、詳細は下のよくある質問と出典を確認してください。
日本でカスタマーサクセス・IT職として働きたい方へ
在留資格の確認から、日本での就職・転職のご相談まで対応しています。
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【企業向け】外国籍のカスタマーサクセス人材を採用するには
SaaS・クラウド領域の成長に伴い、顧客対応と製品理解を兼ね備えた人材のニーズが高まっています。多言語対応が必要な場面もあり、外国籍人材は有力な選択肢です。採用時の確認ポイントを整理します。
- 在留資格該当性 — 業務が技人国の範囲(専門性のある分析・折衝業務)にあるかを確認します。単純な操作案内のみの業務は対象外です
- 専攻・経験と業務の関連性 — 経済・経営・情報系などの学位、または関連する実務経験があるかを確認します
- 業務内容による区分の見極め — 国内顧客中心か、海外連携・多言語折衝が中心かで、人文知識・国際業務どちらの整理になるかが変わります
- 報酬の同等性 — 日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上の報酬であることが要件です
- 言語能力の資料 — 主に言語能力を用いて対人業務に従事する場合、機関の区分によっては語学能力を証する資料が必要になることがあります
採用で重要なのは「外国籍だから」ではなく、在留資格・業務内容・専門性が一致しているかです。この3つが揃っていれば、国籍にかかわらず戦力として迎えられます。
外国籍のカスタマーサクセス・IT人材の採用をご検討中の企業様へ
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よくある質問
未経験からカスタマーサクセスに転職できますか。
必須の資格はなく、営業・カスタマーサポート・コンサルティングなどからの転身が一般的です。まったくの異業種・異職種からよりも、顧客と向き合った経験を土台に移るほうが現実的です。求人ごとに求める経験が異なるため、募集内容の確認が必要です。
カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ移れますか。
顧客対応と製品知識という土台があるため、移りやすい経路のひとつです。ただし、問い合わせに応じる受動型から、成果に向けて能動的に働きかける動き方への切り替えが求められます。利用データを見て先回りする姿勢を示せると評価されます。
英語は必須ですか。
扱う顧客や企業によります。国内のBtoB顧客が中心なら日本語での折衝力が中心になります。外資系や海外本社との連携がある職場では英語が求められることが多く、求人ごとにレベルが異なります。
外国籍でもカスタマーサクセスとして日本で働けますか。
はい。在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が代表的です。顧客分析・活用支援・更新提案などが中心なら「人文知識」、海外連携・多言語折衝が中心なら「国際業務」の要素を含むと整理されることがあります。該当性は業務内容・学歴・職歴などをもとに出入国在留管理庁が個別に審査します。
申請にJLPT N2は必須ですか。
一律に必須ではありません。2026年4月15日以降、一定の条件に該当する申請(主に言語能力を用いて対人業務に従事する場合など)で、業務で使う言語の能力を証する資料が求められる場合があります。日本語については、JLPT N2以上やBJT400点以上、日本の大学卒業などが、必要な能力を満たすものとして扱われる仕組みが示されています。適用の有無は機関の区分や業務内容によるため、個別の確認が必要です。
採用選考で国籍を条件にしてよいですか。
職業安定法および厚生労働省の指針により、国籍を理由とする差別的な取扱いは認められていません。確認すべきは在留資格と業務内容の適合であり、国籍そのものではありません。
他のグローバル専門職を見る
- SAPコンサルタント
- ERPコンサルタント
- ITエンジニア
- 英語を使う経理(英文経理)
あわせて読みたい
出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」(該当活動の区分、国際業務の実務経験要件、令和8年4月15日以降の言語能力に関する資料の取扱い)/同「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」/職業安定法 第3条。
年収に関する注記:カスタマーサクセスは公的統計上の独立した職種区分がなく、職種単位の一次統計は公開されていません。本記事で触れた水準は民間サービスによる推定値であり、調査方法・母集団が異なるため参考値です。
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的・キャリア上の助言ではありません。在留資格の該当性・年収水準・求められるスキルは、個別の事情や求人により異なります。制度は改正される場合があります。在留資格の該当性は出入国在留管理庁が個別に審査します。
当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。
最終更新:2026年7月
監修
HR AGENCY(外国人採用支援サービス)
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