ERP人材を採用するには|製品別の採用要件・在留資格・求人票の作り方

基幹システムの刷新やクラウドERPへの移行が進むなか、ERP人材の確保は多くの企業で課題になっています。求人を出しても、自社が導入する製品の経験を持つ候補者からの応募が集まらないという声は少なくありません。ERPはSAP・Oracle・Dynamics 365・国産ERPなど製品が分かれ、どの製品を扱うかで候補者層がまったく変わるのが採用の難しさです。海外でのERP導入経験を持つ人材まで対象を広げれば、採用の可能性は広がります。

この記事の結論

  • ERP人材の採用は、導入済み(または導入予定)のERP製品を整理することが出発点です。SAP・Oracle・Dynamics 365・国産ERPで、候補者の母集団も市場価値も異なります。
  • 製品経験だけでなく、担当する業務領域(会計・販売・生産など)の知識が必要です。製品を横断できる人材は、業務知識を軸に評価します。
  • 在留資格は職務内容・学歴・職歴・雇用条件を踏まえて個別に判断されるため、求人票の業務内容と実際の業務を一致させることが重要です。

この記事は「専門職の外国人採用」クラスターの職種別記事です

SAPに特化した採用は別記事で扱っています。ERPそのものの仕組みはERPとは?で解説しています。

ERP人材の採用が難しくなっている理由

会計・販売・購買・生産といった基幹業務を一つのシステムで扱うERPは、導入すると長期にわたって企業の運営を支えます。老朽化した基幹システムの刷新、オンプレミスからクラウドへの移行、海外拠点を含めた統合——こうしたプロジェクトが各社で進んでいます。

ERP人材が不足する理由は、システムの知識だけでは務まらない点にあります。業務部門の要望を聞き、それをシステムの形に落とし込むには、会計や生産管理といった業務側の理解が欠かせません。この両方を持つ人材は、コンサルティングファームやSIerに集中しており、事業会社が直接採用するのは容易ではありません。

そのため、海外でのERP導入経験を持つ人材まで採用対象を広げる企業が増えています。グローバル展開やクラウドERPの導入では英語でのドキュメント読解やベンダーとのやり取りが発生するため、語学力を持つ人材の価値が高くなります。

ERP人材に任せられる仕事内容

プロジェクトのフェーズによって、担当する業務が変わります。

  • 製品選定:自社の要件を整理し、複数のERP製品を比較・評価する
  • 要件定義:業務部門へのヒアリング、現行業務の課題整理、あるべき姿の設計
  • Fit&Gap分析:標準機能と業務要件の差分を洗い出し、対応方針を決める
  • 設計・構築:システム設定、アドオン開発の要件整理、他システムとの連携設計
  • テスト・データ移行:動作確認、既存システムからのデータ移行
  • 稼働後の運用・改善:問い合わせ対応、追加要件への対応、バージョンアップ

製品選定から任せるなら業務理解と提案力が、運用・改善が中心なら製品の設定経験が要点になります。

ERP製品別に見る採用要件

ERPは製品ごとに市場が分かれます。すでに導入している製品、またはこれから導入する製品によって、求める経験も候補者層も変わります。採用要件を決める最初のステップです。

製品 導入企業の傾向 候補者の特徴
SAP 大企業・グローバル企業。海外拠点を含む統合が多い 母集団は比較的多いが市場価値が高く、競合しやすい
Oracle データベース基盤を重視する企業。クラウドERPも展開 DB・インフラ知識を併せ持つ人材が多い
Microsoft Dynamics 365 Microsoft製品を活用する企業。中堅〜大企業まで幅広い .NET開発やMicrosoft基盤の経験者が転向しやすい
国産ERP(mcframe、GRANDIT、OBIC7など) 日本の商習慣に合わせた運用を重視する中堅・中小企業 国内案件の経験者が中心。日本語力が求められやすい

※SAPはERP製品のひとつです。ERP人材とSAP人材は同義ではなく、SAP経験者はERP人材の一部にあたります。自社がSAP以外の製品を使っている場合、SAP経験者だけを探しても要件に合わないことがあります。

SAPに絞って採用する場合は、モジュール(FI/CO・SD・MMなど)単位での要件整理が必要です。詳しくはSAP人材を採用するにはで解説しています。

製品経験がない候補者をどう見るか

自社製品の経験者に絞ると母集団が極端に狭くなります。他製品のERP経験があり、担当業務領域(会計・生産など)の知識がある候補者は、製品固有の操作を入社後にキャッチアップできる場合があります。必須要件を「自社製品の経験」ではなく「ERP導入経験+対象業務の知識」に置くと、候補者が広がります。

外国籍のERP人材が活躍しやすい業務

  • 海外拠点へのシステム展開:本社で設計したテンプレートを現地に導入する
  • グローバルテンプレートの設計:複数国で使える標準プロセスを組み立てる
  • 海外ベンダー・オフショアとの連携:開発チームが海外にある場合の橋渡し
  • 英語ドキュメントの読解・作成:製品マニュアルや設計書が英語のケース
  • 多言語・多通貨対応:各国の会計基準・税制に応じた設定
  • 海外拠点の運用サポート:時差のある拠点からの問い合わせ対応

逆に、国内単体の導入で英語を使う場面がない案件では、外国籍であることの強みは出にくくなります。「海外拠点がある」「グローバル展開を予定している」「海外ベンダーを使っている」のいずれかに当てはまる企業では、採用効果が出やすい傾向があります。

採用候補になる外国籍人材

候補者のタイプ 特徴 向いている業務
国内在住の中途人材 日本でのERP導入経験があり、日本語での要件定義に慣れている。SIer・コンサル出身が多い 国内案件の要件定義、業務部門との折衝
海外でのERP経験者 本国や第三国での導入・保守経験。英語力が高く、グローバル案件の知見を持つ場合も 海外展開、英語での要件定義
業務側からの転向者 経理・生産管理などの実務経験があり、業務知識が深い 要件定義、業務改善の提案
ITエンジニアからの転向者 開発・インフラ経験があり、技術面のキャッチアップが早い アドオン開発、システム連携、基盤運用

採用時に求める経験・スキル

  • ERP製品の実務経験:担当製品、担当したフェーズ、設定経験の有無
  • 業務知識:会計・販売・購買・生産など、担当領域の業務プロセス理解
  • プロジェクト経験:導入規模、期間、担当した役割(メンバーかリーダーか)
  • 要件定義力:業務部門から要望を引き出し、システム要件に翻訳する力
  • 技術スキル:データベース、システム間連携、必要に応じて開発言語
  • ドキュメント作成:要件定義書・設計書を正確に書く力

すべてを満たす候補者は多くありません。必須要件と歓迎要件を分けて設計することで、母集団を過度に狭めずに済みます。

日本語力・英語力の決め方

担当フェーズ 求められる力 目安
要件定義・業務部門との折衝 会話力・質問力。業務の前提を引き出せるか ビジネス会話ができる水準
設計書・仕様書の作成 読み書き。日本語で仕様を記述できるか 技術文書を書ける水準
設定・開発が中心 読解中心。仕様書を正確に読めるか 読解ができれば対応可能な場合も
海外拠点への展開・海外ベンダー連携 英語での要件定義・折衝 英語での会議・ドキュメント作成

国産ERPの国内案件では日本語での折衝力の比重が上がり、グローバル展開では英語力が優先されます。求人票には「N1以上」ではなく、業務で表現すると候補者に伝わりやすくなります。

年収・待遇の決め方

年収は国籍ではなく、職務内容・経験・能力・市場水準に応じて決めます。外国籍であることを理由に水準を下げることは、在留資格の観点からも適切ではありません。

ERP人材の年収は、担当製品、経験年数、プロジェクトでの役割(メンバー/リーダー/PM)によって幅があります。市場水準は求職者向けの記事で整理していますので、ERPコンサルタントへ転職するにはもあわせてご確認ください。

待遇設計で確認しておきたい点

  • 同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬であること
  • ERP人材は市場価値が高く、他社との競合が発生しやすいことを想定すること
  • 資格取得支援、製品トレーニングなど、スキル向上の環境を提示すること
  • 住宅の確保、来日時の引越し、在留資格手続きの支援有無を整理しておくこと

在留資格と職務内容の確認

外国籍人材をERP人材として採用する場合、就労可能な在留資格を持っているか、または取得・変更できるかを確認します。専門性のあるIT・コンサル業務は「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の対象となる場合が多いものの、該当するかどうかは実際の職務内容、本人の学歴・職歴、雇用条件などを踏まえて個別に判断されます。

採用前に確認したい4点

  • 在留資格該当性:任せる業務が、専門性を伴うIT・コンサル業務として在留資格の範囲に収まるか
  • 専攻・経験との関連性:情報系の学位、ERP実務経験、または対応する業務経験があるか
  • 報酬の同等性:日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上の報酬か
  • 業務の専門性:単純な操作・入力のみの業務は、専門職としての在留資格の対象にならないとされています

在留資格の全体像は専門職の外国人採用ガイドで解説しています。

書類選考・面接で確認するポイント

「ERP経験3年」だけでは実力が分かりません。担当した範囲を分解して確認します。

  • 担当製品と領域:どの製品の、どの業務領域を担当したか
  • プロジェクトフェーズ:製品選定・要件定義から入ったか、テスト工程からか
  • 設定経験の有無:自分で設定したか、指示に従って作業したか
  • プロジェクト規模:拠点数、ユーザー数、期間、チーム人数
  • 業務知識:担当領域に対応する業務を説明できるか
  • 他製品への適応力:複数製品の経験があるか、キャッチアップの実績があるか
  • 日本で働く理由・キャリア志向:長期的な就業意向と、その背景

面接で使える質問例は外国人採用の面接質問30選、中途の評価軸は外国人中途採用の評価ポイントを参照してください。

ERP人材の求人票の作り方

  • 製品を明記する:「ERP経験者」ではなく「Dynamics 365の導入経験者」と具体的に
  • 業務領域を書く:会計領域か、生産管理か、全体か
  • 担当フェーズを示す:新規導入か、既存システムの改善・運用か
  • 必須と歓迎を分ける:ERP導入経験は必須、特定製品の経験は歓迎、というように区別する
  • 日本語レベルを業務で表現する:「N1以上」ではなく「業務部門と日本語で要件を確認できる方」
  • 英語の使用場面を書く:海外拠点への展開あり、英語ドキュメントの読解あり、など
  • 体制を明記する:社内SEか、コンサルとしての参画か、ベンダーとの役割分担はどうか

ERP人材を採用する方法

方法 特徴 向いているケース
人材紹介 要件に合う候補者を絞って紹介。在留資格の確認も相談できる 製品経験者を確実に採りたい
求人媒体 費用を抑えられるが、選別と在留資格確認は自社で行う 母集団を広く集めたい
ダイレクトリクルーティング 登録者に直接アプローチ。ERP人材は転職市場に出にくいため有効な場合も 採用担当のリソースがある
新卒採用(留学生) 情報系の留学生を採用し、製品トレーニングを経て育成 長期的に内製化したい

費用の相場や採用にかかる期間は、外国人採用の費用はいくら?で整理しています。

入社後の受入れ・定着

  • 自社の業務プロセスの説明:ERP経験があっても、自社固有の業務ルールは別途共有が必要です
  • 既存システムの全体像:周辺システムとの連携、過去の改修経緯を伝える
  • 業務部門との関係づくり:要件定義の相手となる部門に事前に紹介する
  • やさしい日本語での運用:仕様書や依頼文で、曖昧な表現を減らす
  • スキル向上の機会:製品トレーニングや資格取得の支援
  • 定期面談:入社1か月・3か月時点で、担当範囲の認識ズレを確認する
  • 在留期限の管理:更新時期を人事側でも把握しておく

入社後の受け入れ設計は、外国人社員の定着率を上げるオンボーディングもあわせてご覧ください。

Wajob Proで紹介できる人材

Wajob Proでは、技術・人文知識・国際業務を中心とした在留資格で働く、専門職の外国人材をご紹介しています。ERP・IT領域では、次のような人材が対象です。

  • 国内SIer・コンサルティングファーム出身のERP経験者:日本での導入プロジェクト経験があり、日本語での要件定義に対応できる人材
  • SAP経験者:特定モジュールの導入・保守経験を持つ人材(SAPに絞る場合はSAP人材を採用するにはもご覧ください)
  • Oracle・Dynamics 365の経験者:各製品の導入・設定経験を持つ人材
  • 海外でのERP導入経験者:本国や第三国での導入・保守経験を持ち、英語で業務ができる人材
  • 業務側からの転向者:経理・生産管理の実務経験があり、ERP領域に広げたい人材
  • 日本の大学で情報系を学んだ留学生:製品トレーニングを経て育成する前提の新卒層

Wajob Proは、日本の大学・専門学校とのネットワークを通じて、年間1万名規模の外国人材と接点を持っています。情報系を学んだ留学生から、国内で実務経験を積んだ専門職まで、職種と業務内容に応じてご紹介できます。

ERP人材は、募集要項の書き方ひとつで採用できる人材が大きく変わります。「自社製品の経験者に絞るべきか判断できない」「この業務で技人国に該当するか分からない」——そうした段階からご相談いただけます。

ご相談の流れは、①導入済み(または導入予定)の製品と任せたい業務を伺う → ②在留資格の該当性と求める要件を整理する → ③紹介可能な人材を確認し、候補者をお探しするという進め方です。

外国籍のERP採用が向いている企業

ERPは国内案件だけでなく、海外拠点への展開や海外ベンダーとの連携が発生するため、外国籍人材の強みが活きやすい職種です。次のような企業では、特に採用効果が出やすくなります。

  • 海外拠点があり、グローバルでのERP展開を予定している
  • 日本人のERP経験者だけでは候補者が集まらない
  • 海外ベンダーやオフショア開発チームとの連携がある
  • クラウドERPへの移行を控えており、人員を強化したい

一方、業務が定型的な操作・入力にとどまる場合や、対象となる製品・業務領域が定まっていない場合は、採用してもミスマッチが起きやすくなります。まず対象製品と任せる業務を具体化することをおすすめします。

よくある質問

外国籍のERP人材はどの在留資格で採用できますか?

専門性のあるIT・コンサル業務は「技術・人文知識・国際業務」の対象となる場合が多いですが、該当するかは実際の職務内容、学歴・職歴、雇用条件を踏まえて個別に判断されます。

自社が使っている製品の経験者に絞るべきですか?

絞ると母集団が大幅に狭くなります。他製品のERP経験があり、担当業務領域の知識がある候補者は、製品固有の操作を入社後にキャッチアップできる場合があります。必須要件を「ERP導入経験+対象業務の知識」に置くことをおすすめします。

SAP人材の採用とは何が違いますか?

SAPに絞る場合は、モジュール(FI/CO・SD・MMなど)単位で要件を整理します。ERP全般では、製品と業務領域の組み合わせで候補者を探します。SAPの採用については別記事で詳しく解説しています。

国産ERPの案件でも外国籍人材は採用できますか?

可能です。ただし国内向け製品は日本語のドキュメントや商習慣に依存する部分が多いため、日本語での読解力・折衝力が求められる傾向があります。

採用までどれくらいの期間がかかりますか?

国内在住者の中途採用であれば、選考から入社まで1〜3か月程度が目安です。ERP人材は在職中の候補者が多く、退職交渉に時間がかかる場合もあります。

外国籍のERP・IT人材の採用をご検討中の企業様へ

導入済み(または導入予定)の製品と任せたい業務を伺ったうえで、対象となる人材、在留資格の考え方、採用方法を整理します。「自社製品の経験者に絞るべきか」といった要件の段階からご相談いただけます。

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※在留資格の該当性は個別の事案ごとに判断されます。実際の申請・採用判断にあたっては、出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

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監修

HR AGENCY(外国人採用支援サービス)

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