外国人ITエンジニアは、企業にとっては人材不足を補う選択肢であり、求職者にとっては日本で専門職として働く代表的な職種です。経済産業省の調査では、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると試算されており、国内人材だけでは需給ギャップを埋めることが難しく、企業が外国人ITエンジニアの採用を検討する背景の一つになっています。本記事は、外国人ITエンジニアを「採用したい企業」と「日本で働きたいエンジニア」の双方に向けて、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」を軸に、押さえるべきポイントを整理します。
この記事の要点
- ITエンジニアの就労に必要な在留資格は、原則「技術・人文知識・国際業務(技人国)」
- 技人国は大学等での専攻と業務内容の関連性が審査で重視される
- ITには特例(IT告示)があり、指定の情報処理技術者試験に合格していれば学歴・実務経験がなくても技人国の要件を満たせる
- 企業側は在留資格該当性の確認、求職者側は専攻・資格と業務の一致が鍵になる
- 単純作業や現場のみの業務は技人国の対象外。業務内容が専門性を伴う必要がある
目次
外国人の専門職ガイド
- ITエンジニア(この記事)
今後公開予定:AIエンジニア/データサイエンティスト/ERP・SAP/コンサルタント/経理・会計
外国人ITエンジニアが働くための在留資格
前述のとおり国内のIT人材不足を背景に、外国人ITエンジニアの採用・就職の双方に注目が集まっています。外国人がITエンジニアとして日本で働くには、就労を認める在留資格が必要です。システムエンジニア・プログラマー・インフラエンジニアなどのIT職では、原則として「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が用いられます。
技人国は、大学などで学んだ専門知識を活かすホワイトカラー職のための在留資格です。ITエンジニアは、このうち「技術」(理学・工学その他の自然科学の分野)に該当します。在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで、更新に制限はなく、要件を満たし続ければ長期的に就労できます。
「就労ビザ」という名前の在留資格はありません
「就労ビザ」は、働ける在留資格の総称として使われる通称です。ITエンジニアの場合、実際に取得するのは技人国(または要件を満たせば高度専門職)です。在留カードには正式名称「技術・人文知識・国際業務」と記載されます。
IT告示という特例(学歴不問の道)
技人国は原則として、大学等での専攻と業務の関連性が求められます。しかし、IT分野には他の職種にない特例があります。
IT告示(法務省告示第437号)
法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格しているか、資格を有している場合、学歴や実務経験の要件を満たしていなくても、技人国の申請要件を満たすことができます。これは「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」(平成二十五年法務省告示第四百三十七号)にもとづくもので、通称「IT告示」と呼ばれます。
対象となる試験には、日本の情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験のほか、中国・フィリピン・ベトナム・ミャンマー・台湾・マレーシア・タイ・モンゴル・バングラデシュ・シンガポール・韓国など、各国で実施される情報処理技術系の資格が含まれます。IT分野は、専攻が情報系でなくても、指定資格の合格によって道が開けるのが特徴です。
【企業向け】外国人ITエンジニアを採用するには
IT人材の獲得競争が激しいなか、外国人ITエンジニアの採用は選択肢のひとつです。採用にあたって確認すべき点を整理します。
確認すべきこと
- 在留資格該当性 — 担当してもらう業務が技人国の範囲内(専門性のあるIT業務)にあるかを確認します
- 専攻・資格と業務の関連性 — 情報系の学位、またはIT告示の対象資格を持っているかを確認します
- 報酬の同等性 — 日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上の報酬であることが要件です
- 業務内容が単純作業でないこと — 現場作業やデータ入力のみの業務は技人国の対象外です
採用後の業務内容にも注意
採用時に問題がなくても、入社後に技人国の範囲を超える業務(単純作業など)に従事させていると、在留期間の更新時に不許可となるおそれがあります。業務内容は継続的に管理する必要があります。
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【求職者向け】日本でITエンジニアとして働くには
日本でITエンジニアとして働きたい外国人の方に向けて、就労までの基本的な流れを整理します。
日本で働くための条件
- 就労先の内定 — 技人国は、雇用契約(内定)があってはじめて申請できます。まず就職先を決めることが出発点です
- 専攻または資格 — 情報系の学位を持っているか、IT告示の対象となる情報処理資格を持っていることが有利です
- 業務との関連性 — 担当する業務が、自分の専攻・資格と関連していることが審査で重視されます
日本語能力は在留資格の要件そのものではありませんが、就職活動や実務では求められることが多くあります。ただし、企業によっては日本語レベルを問わない場合もあり、まずは応募可能な求人を探すことが第一歩です。
待遇について
ITエンジニアの待遇は、企業規模・職種(SE/インフラ/セキュリティ等)・実務経験・日本語力・専門性によって大きく異なります。技人国では「日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上の報酬」が要件とされているため、同じ職務であれば国籍による差はつけられません。具体的な水準は、求人ごとに確認することになります。
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技人国で認められる職種・認められない業務
技人国は専門性を前提とした在留資格です。IT分野で認められる職種と、認められない業務を整理します。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 認められる(専門性のある業務) | システムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、情報セキュリティ、データ分析 |
| 原則認められない(単純・現場業務) | データ入力のみ、機器の設置・運搬のみ、専門知識を要しない反復作業 |
職種名だけで判断されるわけではなく、実際の業務内容が専門性を伴うかが審査されます。求人票や雇用契約書に記載する業務内容が、技人国の趣旨に沿っていることが重要です。
よくある質問
情報系の大学を出ていなくても、ITエンジニアとして技人国を取れますか。
IT告示(法務省告示第437号)の対象となる情報処理技術の試験に合格している場合、学歴や実務経験の要件を満たしていなくても、技人国の申請要件を満たせます。情報系の学位がない場合は、この特例が選択肢になります。
日本語能力は必須ですか。
技人国の在留資格そのものに、日本語能力の要件はありません。ただし、就職活動や実際の業務では日本語が求められることが多くあります。企業によっては日本語レベルを問わない場合もあるため、まずは応募可能な求人を探すのが現実的です。
海外にいるエンジニアを採用できますか。
可能です。海外在住者を採用する場合は、企業が出入国在留管理庁に在留資格認定証明書の交付申請を行い、本人が本国の在外公館でビザ申請を行う流れになります。国内在住者の変更・更新より時間がかかる傾向があるため、就業開始の数か月前から準備するのが安全です。
技人国と高度専門職は何が違いますか。
技人国は専門的なホワイトカラー職のための一般的な在留資格です。高度専門職はポイント制で、学歴・職歴・年収などが基準を満たす場合に取得でき、永住許可要件の緩和などの優遇があります。エンジニアの状況に応じて、どちらが適切かを判断します。
外国人がITエンジニアとして日本で働くのは一般的ですか。
はい。日本のIT業界は人材不足が続いており、ITエンジニアは国籍を問わず活躍しやすい職種のひとつです。SE・プログラマー・インフラエンジニアなど幅広い職種で、外国人ITエンジニアが技人国の在留資格で就労しています。専攻や情報処理資格が業務と関連していれば、日本でITエンジニアとして働く道が開けます。
採用選考で国籍を条件にしてよいですか。
職業安定法および厚生労働省の指針により、国籍を理由とする差別的な取扱いは認められていません。確認すべきは在留資格と業務内容の適合であり、国籍そのものではありません。
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出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」/「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」(平成25年法務省告示第437号)/経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月・商務情報政策局 情報処理振興課)/職業安定法 第3条
数値について:IT人材不足の試算(2030年に最大約79万人)は、経済産業省「IT人材需給に関する調査」にもとづく最大シナリオの値です。需要の伸びと労働生産性の上昇率によって試算は変動します。
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。在留資格の可否は個別の事情により異なります。制度は改正される場合があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁または行政書士等の専門家にご確認ください。
当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。
最終更新:2026年7月
監修
HR AGENCY(外国人採用支援サービス)
外国人アルバイト紹介・外国人正社員紹介・外国人採用コンサルティングを提供。首都圏を中心に、企業向けの外国人採用支援を行っています。


