外国人採用は国籍ではなく在留資格で考える|企業向け解説

外国人採用を検討するとき、「どの国の人を採用するか」から考えてしまうことがあります。しかし、日本の制度上、採用の可否を左右するのは国籍ではなく在留資格です。同じ国の出身者でも、在留資格が違えば就ける仕事は変わります。本記事では、なぜ国籍ではなく在留資格で考えるべきなのか、そして「在留外国人数」「技人国」「留学生」という3つの数字がそれぞれ何を意味するのかを、企業向けに整理します。

この記事の要点

  • 採用の可否を左右するのは国籍ではなく在留資格。同じ国の出身でも在留資格で就ける仕事は変わる
  • 国籍を理由とする差別的な取扱いは、職業安定法で認められていない
  • 「在留外国人数」「技人国」「留学生」は別の数字。見るべきデータは採用の目的で変わる
  • アルバイト採用なら「留学生」、専門職の正社員採用なら「技人国」を見る
  • まず確認するのは、在留カードの在留資格と就労制限の有無

なぜ「国籍」で選んではいけないのか

外国人採用の相談で、「どの国の人が採用しやすいか」という質問を受けることがあります。しかし、この考え方には2つの問題があります。

法律上、国籍による選別は認められていない

職業安定法 第3条

職業安定法第3条は、人種・国籍・信条・性別・社会的身分などを理由に、職業紹介や採用において差別的な取扱いを受けることがない旨を定めています。厚生労働省の指針でも、公正な採用選考の観点から、本人に責任のない事項(本籍・出生地など)を採用の判断基準としないことが求められています。

「特定の国籍だから採用する」「特定の国籍だから採用しない」という判断は、この考え方になじみません。確認すべきは、国籍そのものではなく、その人が持つ在留資格と、担当してもらう業務内容です。

国籍は、就労の可否を示さない

同じ国の出身者でも、在留資格が違えば、就ける仕事はまったく異なります。たとえば、ある国の出身者に「永住者」の方と「留学」の方がいた場合、前者は就労に制限がなく、後者は原則就労できません(資格外活動許可があれば週28時間以内のアルバイトが可能)。国籍だけを見ても、採用できるかどうかは判断できません。

採用の可否は「在留資格」で決まる

外国人が日本で働けるかどうか、どのような仕事に就けるかは、在留資格によって定められています。大きく分けると、次の3つのグループになります。

在留資格のグループと就労の可否
グループ 主な在留資格 就労の可否
身分・地位にもとづく 永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者 制限なし
就労が認められる 技人国・特定技能・技能実習・高度専門職 など 資格ごとに定められた範囲内
原則就労できない 留学・家族滞在 など 資格外活動許可があれば週28時間以内

このように、就労の可否は在留資格で決まります。採用実務では、応募者の在留カードで在留資格を確認し、担当してもらう業務がその範囲内にあるかを判断します。国籍は、この判断の基準にはなりません。

「在留外国人数」「技人国」「留学生」は別の数字

外国人採用を検討するとき、国籍・地域別の統計をよく目にします。ただし、ひとくちに「◯◯人が多い」といっても、どの数字を見ているかで意味が変わります。代表的な3つの数字を整理します。

3つの数字が示すもの(令和7年末)
数字 示すもの 全国の人数 上位の例
在留外国人数 日本に住む外国人全体 4,125,395 中国・ベトナム・韓国
技人国 専門職として働く外国人 475,790 ベトナム・中国・ネパール
留学 留学生(原則就労不可) 464,784 中国・ネパール・ベトナム

これらは、それぞれ数える対象が異なります。在留外国人数が多い国と、技人国が多い国は一致しません。たとえばインドは、在留外国人数では上位10か国・地域に入りませんが、技人国では第8位に入ります。反対に、在留外国人数の上位に入るフィリピンやブラジルは、身分系が構成の多くを占め、技人国の比率は低くなっています。

つまり、「在留外国人数ランキングの上位国」を見ても、専門職を採用したい企業には役立たないことがあります。採用の目的に合った数字を見る必要があります。

採用の目的別に、見るべきデータは変わる

採用したい人材によって、参考にすべきデータは変わります。

  • アルバイト・パートを採用したい → 「留学」の在留資格を持つ人が対象になりやすい。留学生の多い国・地域を参考にする(資格外活動許可の確認が前提)
  • 専門職の正社員を採用したい → 「技人国」の在留資格が対象。技人国の在留者数が多い国・地域を参考にする
  • 就労制限のない人材を採用したい → 身分系(永住者・定住者など)が対象。これらの比率が高い国・地域を参考にする

いずれの場合も、最終的に確認するのは在留カードの在留資格です。統計はあくまで「どこに母集団が多いか」の参考であり、個々の採用可否は在留資格で判断します。

ランキングは「母集団の分布」を示すもの

当サイトでは、目的別に3つのランキングを公開しています。いずれも在留者数を整理したものであり、採用のしやすさや、個々人の能力・適性を示すものではありません。採用の可否は、在留資格・就労制限・日本語力・職務適性などを個別に確認する必要があります。

在留資格から採用方法を考える

国籍ではなく在留資格から考えると、採用の進め方が整理できます。

まず、どの在留資格の人を採用したいかを決める

アルバイトなら留学、専門職なら技人国、就労制限のない人材なら身分系、というように、採用したいポジションに対応する在留資格を先に決めます。そのうえで、その在留資格の母集団がどこに多いかを、統計で確認します。

次に、在留カードで個別に確認する

応募者が来たら、在留カードで在留資格・就労制限・在留期限を確認します。留学・家族滞在の方は資格外活動許可の有無、特定活動の方は指定書の内容も確認します。ここで初めて、その人を採用できるかどうかが判断できます。

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よくある質問

「採用しやすい国」はありますか。

採用の可否は国籍ではなく在留資格で決まるため、「採用しやすい国」という考え方は実務になじみません。確認すべきは、応募者が持つ在留資格と、担当してもらう業務が在留資格の範囲内にあるかどうかです。また、職業安定法により、国籍を理由とする差別的な取扱いは認められていません。

在留外国人数ランキングの上位国から採用すればよいですか。

採用の目的によります。在留外国人数の上位国は、永住者などの身分系が多くを占める場合があり、専門職の採用には向かないことがあります。専門職なら技人国、アルバイトなら留学というように、目的に合ったデータを見る必要があります。

同じ国の出身者なら、採用の手続きは同じですか。

在留資格が異なれば、手続きも異なります。たとえば永住者は就労制限がなく、留学は資格外活動許可が必要です。同じ国の出身でも、在留カードの在留資格によって確認事項が変わります。

採用選考で国籍を条件にしてよいですか。

職業安定法および厚生労働省の指針により、国籍を理由とする差別的な取扱いは認められていません。確認すべきは在留資格と就労制限の有無であり、国籍そのものではありません。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計(令和7年12月末)第2表(国籍・地域別 在留資格別 在留外国人数)」(政府統計の総合窓口 e-Stat)をもとに当社集計/出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(令和8年3月公表)/職業安定法 第3条/厚生労働省「公正な採用選考の基本」/出入国管理及び難民認定法 第19条・第73条の2

数値について:全国の人数は令和7年末の在留外国人統計にもとづきます。表示桁数未満は四捨五入しています。「身分系」は永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者の合計を指す当社の整理であり、法令上の分類名ではありません。

免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の採用にあたっては、出入国在留管理庁・ハローワークまたは行政書士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。

最終更新:2026年7月

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