外国人採用の労働条件通知書|厚労省の多言語様式の使い方と記載ポイント
労働条件通知書の交付は、日本人・外国人を問わず法律上の義務です。厚生労働省は英語・中国語・ベトナム語など9言語のモデル様式を無料で公開しています。どこで入手し、どう使うかを解説します。
「外国人にも労働条件通知書は必要なのか」「日本語だけでいいのか」「様式はどこにあるのか」——外国人を採用するとき、多くの担当者が最初に確認する書類が労働条件通知書です。
結論から言うと、労働条件通知書の交付は労働基準法上の義務で、日本人・外国人を問わずすべての労働者に必要です。そして外国人の場合、本人が内容を理解できる形で明示することが求められます。ありがたいことに、厚生労働省が9言語のモデル様式を無料で公開しているので、これを使うのが最も確実です。この記事では、様式の入手先と使い方、記載時の注意点を解説します。
労働条件通知書 記載確認チェックリスト(保存版PDF)
必ず明示する項目と、外国人採用での確認ポイントを1枚にまとめた保存版です。
この記事で分かること
- 労働条件通知書とは(交付義務・罰則)
- 雇用契約書との違いと、実務での使い分け
- 厚労省の多言語モデル様式(9言語)の入手先と使い方
- 外国人に説明するときの注意点
労働条件通知書は交付が義務
労働条件通知書は、企業が労働者に労働条件を明示するための書類です。労働基準法第15条により、交付が義務づけられています。これは日本人・外国人を問わず、パート・アルバイトを含むすべての労働者に必要です。
明示義務に違反した場合、30万円以下の罰金の対象となります。また、明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は契約を即時に解除できます。
外国人には「理解できる形」での明示が求められる
外国人労働者の雇用管理に関する指針では、労働条件を書面等で明示することが事業主に求められています。本人の日本語能力が十分でない場合は、母国語への翻訳または併記が望ましいとされています。日本語だけで渡して「読んでいない・理解していない」となれば、後のトラブルや在留資格審査での不利につながります。
交付のタイミングは、労働契約の締結時(入社日まで)が原則です。労働者が希望した場合は、メールなど電子的な方法での明示も認められています。
雇用契約書との違いと使い分け
よく混同されますが、労働条件通知書と雇用契約書は別の書類です。役割が違います。
| 労働条件通知書 | 雇用契約書 | |
|---|---|---|
| 法的義務 | あり(労基法15条) | なし(任意) |
| 目的 | 企業から労働者への一方的な「通知」 | 双方の合意を証明する |
| 署名 | 不要(企業が交付するのみ) | 双方が署名・押印 |
| 違反時 | 30万円以下の罰金 | — |
記載する内容はほぼ重なるため、実務では「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として1枚にまとめるのが最も一般的です。こうすれば、法的な交付義務を満たしつつ、双方の合意も証明できます。
なお、「雇用契約書を交わしているから労働条件通知書は不要」という理解は誤りです。雇用契約書に必要な明示事項がすべて記載されていれば兼用できますが、記載が欠けていれば明示義務違反になります。
実務では「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を利用する企業が多いですが、外国人採用では、あわせて母国語版の労働条件通知書を交付するケースも少なくありません。日本語の契約書で合意を確認しつつ、本人が確実に理解できる形でも労働条件を渡す、という運用です。
厚労省の多言語モデル様式を使う
労働条件通知書に決まった書式はありません。自社で作ることもできますが、明示すべき事項に漏れがあると法令違反になります。そこで確実なのが、厚生労働省が公開している「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」を使う方法です。
日本語と対訳が併記された様式で、記載要領もセットになっています。法定の明示事項を漏れなく記載しやすいため、多くの企業で活用されています。
※公開されている言語は変更される場合があります。最新の一覧は厚生労働省のサイトでご確認ください。
厚労省サイトから様式を入手する
厚生労働省のサイトで「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」と検索します。「労働基準法関係」のリーフレット一覧ページに、言語別のPDFが掲載されています。
本人の母国語版を選ぶ
採用する外国人の母国語版を選びます。母国語版がない場合や、本人が英語のほうが理解しやすい場合は英語版を使います。日本語能力が十分な方(N1〜N2程度)であれば、日本語版でも差し支えありません。
記載要領を見ながら記入する
様式には記載要領が付いています。契約期間、就業場所・業務内容(変更の範囲を含む)、労働時間、賃金、退職に関する事項などを、自社の条件に合わせて記入します。雇用契約書・在留資格申請書と内容が一致しているか、必ず確認してください。
本人に説明して交付する
渡して終わりにせず、内容を口頭でも説明します。特に労働時間、残業、賃金、契約更新の条件は誤解が生じやすい部分です。本人が理解したことを確認してから交付しましょう。
あわせて確認したい公的リソース
特定技能の在留資格で採用する場合は、出入国在留管理庁が「特定技能」の雇用契約書・雇用条件書の指定様式を公開しています(各国語版あり)。最新の様式を公式サイトからダウンロードしてご利用ください。
外国人に説明するときの注意点
書面を渡すだけでは、内容が伝わったことにはなりません。特に誤解が生じやすい項目と、その伝え方を押さえます。
① 残業・固定残業代
「みなし残業」「固定残業代」は、母国の制度にない場合が多く、最も誤解を招きます。何時間分が含まれるのか、超過分は別途支払われるのかを明確に説明します。
② 契約更新の条件
有期契約の場合、更新の有無・判断基準・上限を具体的に。「更新される場合がある」という曖昧な表現は、期待と現実のギャップを生みます。在留期限との関係もあわせて説明しましょう。
③ 賃金の控除項目
社会保険料・税金が控除され、手取り額が額面と異なることは、事前に説明しておかないとトラブルになります。初回給与の見込み額を具体的に伝えると親切です。
④ 就業場所・業務の「変更の範囲」
2024年の法改正で明示が必要になった項目です。将来的に配置転換や業務変更がありうるかを明確に。在留資格との整合も踏まえて記載します。
短く、はっきり、ひとつずつ
一文を短くし、二重否定や敬語の重ね使いを避けます。✕「残業していただくことになる場合もございます」
◯「残業が あります。月に 20時間 くらいです」
数字と日付は書いて見せる
口頭だけでは聞き取りにくい数字(金額・時間・日付)は、紙に書いて指差しながら説明します。母国語版と日本語版を並べて見せるのも有効です。
外国人だけの就業規則は作らない
労働条件通知書を母国語で用意することと、外国人だけに別のルールを適用することは違います。就業規則は日本人と同じものを適用し、その内容を理解できる形(やさしい日本語・母国語)で説明するのが適切です。
書類の準備から、HR AGENCYがサポート
労働条件通知書は、在留資格の審査でも確認される重要書類です。書き方や説明の仕方に不安があるときは、相談できる会社を活用する方法もあります。
HR AGENCYの外国人採用サポート
HR AGENCYでは、外国人材の紹介にとどまらず、在留資格の確認・必要書類の準備・採用後のフォローまで、外国人採用を一気通貫でサポートします。「労働条件をどう説明すればいいか」「この内容で在留資格が取れるか」といった実務的な疑問にもお答えします。
採用したい人材に応じて、アルバイトなら留学生紹介のWajob、正社員なら専門職紹介のWajob Proをご利用いただけます。まずは自社の状況を整理するところからご相談ください。
労働条件通知書についてよくあるご質問
外国人採用 実務ガイド(関連記事一覧)
労働条件通知書の準備とあわせて、契約書や必要書類もご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。労働関連法令や公的様式は改正される場合があります。最新の様式・運用は、厚生労働省・出入国在留管理庁などの公的機関でご確認いただき、個別の判断は社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
外国人採用の書類準備を、
一緒に整理します
労働条件通知書や雇用契約書など、外国人採用の書類準備でお困りなら——記載内容の確認から在留資格の整合まで、専門家と連携してサポートします。まずは現状をお聞かせください。
外国人採用について相談する →監修
HR AGENCY(外国人採用支援サービス)
外国人アルバイト紹介・外国人正社員紹介・外国人採用コンサルティングを提供。首都圏を中心に、企業向けの外国人採用支援を行っています。


