外国人が転職できない理由|在留資格・企業・エージェント・転職活動の4つを解説

日本での転職活動が、思うように進まない。書類は出せるのに、選考が進まない。エージェントに登録しても、求人が紹介されない。こうしたとき、多くの方が「自分の経歴が足りないのではないか」と考えます。しかし実際には、経歴とは別のところで止まっているケースが少なくありません。この記事では、外国籍の方の転職が「どこで止まるのか」を4つの段階に分けて整理します。

この記事の要点

  • 転職が進まない原因は、企業・在留資格・エージェント・転職活動の4段階のどこかにある
  • 求人票の「日本語ネイティブ」は、実務の要件とは限らない
  • 在留資格は「持っているか」ではなく「職務内容と合っているか」で判断される
  • エージェント側の事情で止まることもあり、これは本人の能力とは無関係
  • まず確認すべきは、自分がどの段階で止まっているか

「経歴が足りない」とは限らない

転職活動が進まないとき、原因を自分の経歴に求めるのは自然な反応です。しかし外国籍の方の場合、経歴以外の要因が重なって止まっていることがあります。

厄介なのは、止まっている理由が本人に伝わらないことです。企業からは「今回はご縁がなかった」と返ってくるだけで、求人票の条件で外れたのか、在留資格の確認に時間がかかったのか、そもそも選考に進んでいなかったのかは分かりません。エージェントからも「ご紹介できる求人がありません」としか伝えられないことがあります。

この記事では、原因を並べるのではなく、転職活動のどの段階で止まるのかを順に見ていきます。自分がどこにいるかが分かれば、次に何をすべきかも決まります。

転職が止まりうる4つの段階

  • STEP1|企業 求人票の条件、社内での受け入れ体制
  • STEP2|在留資格 職務内容と在留資格の関係
  • STEP3|エージェント 紹介会社側の判断と工数
  • STEP4|転職活動 書類、面接、伝え方

企業側で止まる|STEP1

最初の関門は、応募する前の段階にあります。求人票の条件です。

求人票の「日本語ネイティブ」

求人票に「日本語ネイティブレベル」と書かれていると、その時点で応募をあきらめてしまう方がいます。しかし、この条件は実務で本当に必要な水準を表しているとは限りません

求人票は採用担当者が作成しますが、日本語の水準について社内で明確な基準が定まっていないまま「ネイティブ」と記載されることがあります。実際に業務内容を確認していくと、社内の共通言語が英語だったり、担当する範囲では読み書きが中心だったりと、記載された条件と実務の要件が異なる場合があります。

逆のパターンもあります。求人票には日本語の条件が書かれていないのに、面接に進むと実務では高い日本語運用が求められると分かることもあります。求人票の記載と実態は一致しないことがあるという前提で見た方が、判断を誤りません。

社内の受け入れ体制

企業側が外国籍の方の採用に慣れていない場合、選考の途中で止まることがあります。

在留資格の確認が必要になったとき、人事担当者が判断できずに社内で確認を取ることになります。役員への説明が必要になったり、雇用契約書の様式を検討したり、入社日の調整が読めなくなったりします。この一手間を避けるために、選考の早い段階で見送られることがあります。

外国籍の採用が初めてで、社内の合意が取れない

受け入れ体制と近い話ですが、外国籍の方の採用が社内で前例のない企業では、選考とは別のところで時間がかかることがあります。

現場は採用したいと考えていても、決裁の過程で「前例がない」「手続きが分からない」という理由で判断が保留されることがあります。過去に採用した実績があれば社内に判断材料がありますが、初めての場合は一から確認することになるためです。

ここで重要なのは、これは候補者本人の評価とは別の話だということです。経歴が評価されていても、社内の受け入れ体制が整っていなければ話が進みません。

企業側の懸念は、説明できれば解消することがある

「在留資格の手続きが分からない」「どの書類が必要か判断できない」という理由で企業が慎重になっている場合、必要な手続きと期間を整理して伝えることで、話が前に進むことがあります。候補者本人から説明するのが難しい場面では、間に入る立場の者が説明する方法もあります。

在留資格で止まる|STEP2

次の段階が在留資格です。ここは誤解が多い部分です。

「在留資格を持っている」だけでは足りない

就労できる在留資格を持っていても、それだけでどんな仕事にも就けるわけではありません。在留資格ごとに、行うことができる活動の範囲が定められているためです。

たとえば「技術・人文知識・国際業務」(技人国)は、自然科学または人文科学の分野に属する技術または知識を要する業務、あるいは外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務に従事する活動とされています。転職先の職務内容がこの範囲に入るかどうかが問われます。

つまり判断されるのは「在留資格を持っているか」ではなく、「転職先の職務内容が、その在留資格で認められた活動に当てはまるか」です。同じ会社への転職でも職務内容が変われば確認が必要になりますし、職種が同じでも会社が変われば確認の対象になります。

キャリアアップの転職ほど判断が難しくなる

ここに難しさがあります。専門職から管理職へ、コンサルティングから事業会社の企画へ、といったキャリアが前に進む転職ほど、職務内容が変わります。職務内容が変われば、在留資格との関係を改めて確認する必要が生じます。

経歴が優れている方ほどこの局面に立ちやすく、「経歴は評価されているのに手続きの見通しが立たない」という状態が起こります。

在留資格によって手続きが違う

在留資格ごとの転職時の考え方(概要)
在留資格 転職時に主に問われること
技術・人文知識・国際業務 転職先の職務内容が在留資格の範囲に入るか。所属機関の変更に関する届出が必要
高度専門職1号 所属機関が指定されているため、転職で所属機関が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要
高度専門職2号 所属機関の指定がなく、1号と比べて手続きの負担は軽い
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者 就労内容に制限がないため、職務内容による制約は生じにくい

個別の判断は入管が行います

在留資格の該当性や必要な手続きは、申請内容をもとに出入国在留管理庁が個別に審査して判断します。この記事の内容は一般的な整理であり、実際の許可・不許可を示すものではありません。判断に迷う場合は、入管の窓口や、入管業務を扱う専門家に確認することをおすすめします。

在留資格の種類ごとに、転職のときに何が問われるのかは外国人が転職するときの在留資格ガイド|種類ごとの考え方と必要な手続きで整理しています。

転職エージェントで止まる|STEP3

転職エージェントに登録したのに求人が紹介されない。この段階で止まっている方は少なくありません。ここは、あまり語られない部分です。

先に前提を述べておくと、対応は紹介会社によって、また担当者によって大きく異なります。外国籍の方の支援を主業務としている会社もあれば、そうでない会社もあります。以下は「エージェント全体がこうだ」という話ではなく、止まりやすい構造がどこにあるかの整理です。

求人票の条件で、検索の段階から外れる

エージェントの担当者は、求人データベースを条件で検索して候補者に合う求人を探します。このとき求人票に「日本語ネイティブ」「要日本国籍」と記載されていれば、検索結果の段階で候補から外れます

STEP1で述べたとおり、その条件が実務の要件を正確に表しているとは限りません。ただし、求人票の記載を一件ずつ企業に確認するには時間がかかります。担当者が同時に多数の求人と候補者を扱っている状況では、記載のとおりに扱われることになりやすい構造があります。

在留資格の確認に対応できる体制かどうか

在留資格に関する確認、企業への説明、必要書類の案内といった対応には、通常の紹介業務に加えて手間がかかります。

紹介会社によっては、こうした対応を十分に行える体制が整っていない場合があります。担当者個人の知識や経験に依存していると、対応できる担当者に当たるかどうかで結果が変わることもあります。これは候補者の経歴とは無関係に生じる差です。

判断できない案件は、進めにくい

担当者が在留資格の該当性を判断できない場合、その案件は「進めた先で見通しが立たない案件」に映ります。選考を進めた後で手続きの問題が判明すれば、候補者にとっても企業にとっても負担になるためです。

結果として、確認に踏み込む前の段階で「ご紹介できる求人がありません」という回答になるケースがあります。この回答からは理由が分かりません。候補者側は、自分の経歴が評価されなかったのだと受け取ってしまいます。

はっきり断られるとは限りません

「外国籍の方は対応していません」と明言されることは、実際にはそれほど多くありません。「今は市場が動いていない」「条件に合う求人が出たらご連絡します」という形で、そのまま連絡が来なくなることもあります。この場合、本人は自分の市場価値の問題だと考えてしまいがちですが、実際にはSTEP1からSTEP3のどこかで止まっているだけということがあります。

エージェントを見るときの確認点

紹介会社によって対応が異なる以上、最初の面談で確認しておくことが手戻りを減らします。次の点は、登録前や初回面談の段階で聞いておく価値があります。

面談時に確認しておきたいこと

  • 在留資格を踏まえて職務内容の範囲まで確認してくれるか
  • 求人票の日本語条件について、企業に実態を確認してくれるか
  • 企業への在留資格の説明を代わりに行ってくれるか
  • 入社までに必要な手続きと期間を案内してくれるか
  • 紹介できない場合に理由を説明してくれるか

これらに具体的な回答が得られない場合、その紹介会社では在留資格に関する確認まで踏み込めない可能性があります。複数のエージェントに相談してみると、対応の差が見えてきます。

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HR AGENCYでは、在留資格・これまでの職務内容・求人の状況の3点を確認したうえで、応募できる求人をご案内します。企業への在留資格の説明から、入社に必要な手続きまでサポートします。

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転職活動の進め方で止まる|STEP4

ここまでの3段階を通過していても、転職活動の進め方で止まることがあります。

職務経歴書で経験が伝わっていない

日本の職務経歴書は、担当した業務と成果を具体的に書く形式が一般的です。海外での職務経歴書は役職と職責を中心に書く形式が多く、そのまま日本語に訳すと「何をしたのか」が伝わりにくくなることがあります。

もう一点、在留資格との関係でも職務経歴書は重要です。転職先の職務内容が在留資格の範囲に入るかを判断するとき、これまでの経歴との関連性が見られます。経歴と職務内容のつながりが説明できる形になっているかは、確認しておく価値があります。

面接で日本語の水準が正確に伝わらない

面接では、緊張や慣れない敬語表現によって、実際の日本語運用より低く見られてしまうことがあります。逆に、日常会話が流暢であるために、実務で必要な読み書きの水準まで問題ないと判断され、入社後に齟齬が生じることもあります。

いずれも、自分の日本語をどう説明するかを事前に整理しておくことで防げます。JLPTの級だけでなく、業務のどの場面でどの言語を使ってきたかを具体的に伝える方が正確に伝わります。

在留資格の話を切り出す時期

在留資格の話をいつ企業に伝えるかで迷う方がいます。早すぎると懸念を持たれるのではないか、遅すぎると内定後に問題になるのではないか、という迷いです。

実務上は、選考が進んだ段階で必要な手続きと期間を整理して共有するのが現実的です。入社日の設計に関わるため、内定後に初めて伝えると調整が難しくなります。

どこで止まっているかを確かめる

4つの段階を見てきました。整理すると次のようになります。

止まっている段階と、次に確認すること
段階 起きていること 次に確認すること
STEP1
企業
書類選考が通らない。求人票の条件で応募をためらう 求人票の日本語条件が実務の要件か。企業に確認できているか
STEP2
在留資格
選考は進むが、手続きの話で止まる 転職先の職務内容が在留資格の範囲に入るか
STEP3
エージェント
登録しても求人が紹介されない 在留資格を踏まえて求人を探してくれる体制か
STEP4
転職活動
面接まで進むが、決まらない 経歴と職務内容のつながりが説明できているか

ここまで読んで、自分がどの段階にいるか見当がついた方は、その段階に対応する確認から始めてください。

一方で、どこで止まっているか分からないという方も少なくないはずです。企業からもエージェントからも理由が伝えられないためです。その場合は、まず在留資格と職務内容の関係を確認するところから始めると、STEP2以降が切り分けられます。

転職を進められている方に共通すること

ここまで「どこで止まるか」を見てきました。最後に、逆の視点から整理します。在留資格を持つ方で転職を進められている方には、いくつか共通する準備があります。

職務内容を具体的に説明できる

「何の職種か」ではなく「どの業務を、どの範囲で担当したか」を説明できる状態にしておくことです。これは選考でも評価されますが、在留資格との関係を確認する場面でも必要になります。職務経歴書を作る段階で、担当業務を具体的に書き出しておくと後の確認が早くなります。

自分の在留資格でできることを把握している

在留資格ごとに、行うことができる活動の範囲が定められています。自分の在留資格がどの範囲まで認めているのかを把握していれば、求人を見るときの判断が早くなります。分からない場合も、在留カードがあれば確認できます。

企業に伝えるべきことを整理している

選考が進んだ段階で、必要な手続きと期間を企業に共有できる状態にしておくことです。企業側が判断できずに止まっている場合、情報が整理されて伝われば前に進むことがあります。自分で説明するのが難しい場合は、間に入る立場の者に依頼する方法もあります。

相談先を一つに絞っていない

紹介会社によって対応できる範囲が異なる以上、一社の回答だけで判断しないことです。複数に相談してみると、求人の紹介範囲や在留資格への対応の差が見えてきます。

転職の手続きについて詳しく

転職を具体的に進める段階では、確認する内容が「転職の前」と「転職の後」に分かれます。それぞれ次の記事で整理しています。

転職の前に確認すること

転職の後に行うこと

よくある質問

日本語がネイティブレベルでないと転職は難しいですか。

職種によって必要な日本語の水準は異なります。求人票に「日本語ネイティブ」と書かれていても、実務の要件と一致しているとは限りません。まずは、これまでどの業務でどの言語を使ってきたかを整理し、それが求められる職種を探す方が現実的です。

今の在留資格のまま転職できますか。

在留資格の種類と、転職先の職務内容によって異なります。就労できる在留資格を持っていても、転職先の職務内容がその在留資格で認められた活動に当てはまるかが問われます。高度専門職1号のように、所属機関が変わる場合に在留資格変更許可申請が必要となる在留資格もあります。

エージェントに「紹介できる求人がない」と言われました。経歴が足りないということですか。

必ずしもそうとは限りません。求人票の条件で機械的に外れている場合や、在留資格の確認に対応していない場合もあります。理由の説明を求めても回答が得られない場合は、別のエージェントで状況が変わることもあります。

在留資格の話は、いつ企業に伝えるべきですか。

選考が進んだ段階で、必要な手続きと期間を整理して共有するのが現実的です。手続きによっては入社日の設計に関わるため、内定後に初めて伝えると調整が難しくなることがあります。

転職すると就労資格証明書は必要ですか。

就労資格証明書は、在留する外国人からの申請に基づき、その方が行うことができる就労活動を出入国在留管理庁長官が証明する文書です。出入国在留管理庁は、この証明書自体は就労活動を行うための許可書ではなく、これがなければ就労できないというものでもないとしています。また、この証明書を提示しないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項に規定されています。取得が有効な場面と、そうでない場面があります。

転職すると永住申請に影響がありますか。

永住許可の審査では、在留歴のほかに、素行が善良であること、独立して生計を営むに足りる資産または技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることなどが要件とされています。転職の有無だけで判断されるものではありません。永住を検討している場合は、要件の全体を確認しておくことをおすすめします。

どこで止まっているか分からない方へ。まず在留資格と職務内容の関係から確認します。

HR AGENCYでは、在留資格・これまでの職務内容・求人の状況の3点を確認し、応募できる求人をご案内します。企業への在留資格の説明から、入社に必要な手続きまでサポートします。相談は無料で、いますぐ転職しない方もご相談いただけます。

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出典:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」出入国在留管理庁「手続の種類から探す」
※この記事は一般的な整理であり、個別の在留資格の該当性や許可・不許可を示すものではありません。実際の判断は出入国在留管理庁が個別に行います。

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監修

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