不法就労とは?企業の責任・罰則・防止方法を解説

外国人を雇用する企業にとって、最も重い法令リスクが不法就労助長罪です。
この罪の恐ろしさは、罰則の重さではありません。「知らなかった」では免責されないという点にあります。在留カードを確認していなかった、というだけで、故意がなくとも処罰対象になり得ます。
この記事では、何が不法就労にあたるのか、企業がどこまで責任を負うのか、そして罰則の正確な内容と適用時期を、条文に基づいて整理します。

この記事の結論(2026年7月時点)

  • 不法就労は3類型。在留資格がない/許可がない/範囲を超えて働く
  • 働かせた企業も不法就労助長罪(入管法第73条の2)で処罰される
  • 「知らなかった」では免責されない。在留カード確認の怠りは過失にあたる
  • 現行の罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科可)
  • 2027年4月1日から5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金へ引き上げ
  • 両罰規定により、担当者個人と法人の双方が罰金刑の対象になる

「2025年6月に厳罰化された」という記述にご注意ください

インターネット上には「2025年6月から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に強化された」と記載する情報が多数あります。これは誤りです。
改正法(令和6年法律第60号)は2024年6月21日に公布されましたが、出入国在留管理庁の公表によれば、施行日は一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日です。施行期日を定める政令は2025年9月に公布されています。
したがって、2026年7月時点で適用される罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。

不法就労とは何か

不法就労とは、次の3つのいずれかに該当する状態を指します。

類型 内容 具体例
① 在留資格がない 不法滞在者、または就労が認められない在留資格の人が働く 在留期限が切れた人/短期滞在(観光)の人を雇用する
② 許可がない 資格外活動許可を受けずに働く 留学・家族滞在の人が、許可なくアルバイトをする
③ 範囲を超える 在留資格で認められた活動の範囲外で働く/時間の上限を超える 技人国の人に現場の単純作業をさせる/留学生を週28時間を超えて働かせる

企業が意図せず陥りやすいのは②と③です。とくに③は、採用時点では適法でも、配属や業務内容の変更によって後から不法就労になることがあります。

在留資格ごとにできる仕事は、外国人はどんな仕事で働ける?在留資格別解説で整理しています。

企業の責任:不法就労助長罪

不法就労は、働いた外国人本人だけの問題ではありません。働かせた事業主も処罰されます。

出入国管理及び難民認定法 第73条の2第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

「知らなかった」では免責されない

この罪の最大の特徴が、次の条文です。

出入国管理及び難民認定法 第73条の2第2項

前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していないなど過失があれば、処罰を免れません。故意は要件ではないのです。

逆に読めば、「過失がなかった」と証明できれば処罰を免れる余地があるということです。ここが実務上の分かれ目になります。在留カードの原本確認、真偽確認、記録の保管。これらを行っていたかどうかが、無過失を主張できるかを決めます。

法人にも罰金が科される(両罰規定)

入管法第76条の2の両罰規定により、違反行為をした従業員・担当者個人だけでなく、その法人にも罰金刑が科されます

「現場に任せていたので知らなかった」という経営者の主張は、組織的な管理体制の不備が認められれば通りません。採用担当者個人と会社の双方がリスクを負います。

罰則の正確な内容と、適用時期

ここが、この記事で最も正確にお伝えしたい部分です。

不法就労助長罪の罰則(入管法第73条の2)
時期 罰則 併科 法人(両罰規定)
現行
(〜2027年3月31日)
3年以下の拘禁刑
又は300万円以下の罰金
300万円以下の罰金
2027年4月1日〜 5年以下の拘禁刑
又は500万円以下の罰金
500万円以下の罰金

罰則を引き上げる改正法は、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)です。2024年6月21日に公布されました。

ただし、公布と施行は別です。出入国在留管理庁の公表によれば、この法律の施行日は一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日。技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設と、同じ日に施行されます。

経営に及ぶ影響は、罰金額だけではありません

不法就労助長罪で罰金刑を受けた場合、その後5年間、特定技能外国人の受入れができなくなります(2027年4月1日以降は育成就労・特定技能が対象)。
さらに、有料職業紹介事業や労働者派遣事業などの許認可事業では、許可の取消しや業務停止処分の対象となり得ます。警備業のように公安委員会の認定を要する事業では、認定の取消しにつながる可能性もあります。
刑事罰に加え、社会的信用の失墜、取引停止。事業への打撃は、罰金額をはるかに超えます。

企業が意図せず問われやすい5つのケース

いずれも「うっかり」「確認不足」で起こります。

ケース 何が起きたか 防ぎ方
在留期限切れ 更新したと本人が言うので信じ、在留カード現物を確認しなかった 更新後の在留カード原本を必ず確認する
資格外活動許可の未確認 留学生を採用したが、在留カード裏面の許可欄を見ていなかった 裏面の資格外活動許可欄を確認する
週28時間の超過 他店との掛け持ちを把握しておらず、合算で超過していた 面接時に他店の就労状況を確認し、記録を残す
在留資格の範囲外 技人国で採用したが、実態は現場作業が中心になっていた 契約書と業務実態を一致させる
偽造在留カード 目視では本物に見えたが、ICチップの読取確認を行っていなかった 在留カード等読取アプリで真偽を確認する

派遣・業務委託先も、自社の責任になり得ます

派遣会社から送られてきた外国人が不法就労だった場合でも、受入れ先企業が明らかに不自然な状況(在留カードの提示を拒む等)を黙認していれば、助長罪に問われることがあります。「派遣会社が確認しているはず」という思い込みは危険です。

防止方法:無過失を証明できる体制をつくる

目的は「違反しないこと」だけではありません。万一のときに「過失がなかった」と証明できる記録を残すことです。

① 在留カードは原本を、目視とアプリの両方で

  • コピーや画像ではなく、原本を直接確認する
  • 表面の在留資格・在留期限・「就労制限の有無」欄を確認
  • 留学・家族滞在の場合、裏面の資格外活動許可欄を確認
  • 出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリでICチップを読み取り、真偽を確認
  • 「在留カード等番号失効情報照会」でカード番号が有効か確認
  • 確認した日時と内容を記録に残す

現在の実務では、公式の読取アプリを使用していたかどうかが、無過失を証明できるかの分かれ目になっています。手順は在留カード確認チェックリストにまとめています。

② 業務内容が在留資格の範囲内かを確認する

採用時だけでなく、配属変更や昇進のたびに確認してください。技人国で採用した人を現場に固定配置すれば、その時点で在留資格該当性を欠きます。

③ 在留期限を一元管理する

全スタッフの在留資格・在留期限・資格外活動許可の有無を一覧化し、期限の3か月前にアラートが出る運用を組んでください。更新申請には時間がかかります。

管理表は外国人採用の年間運用シートとして無料で公開しています。

④ 労働時間を掛け持ち込みで管理する

留学生・家族滞在の週28時間は、本人が行うすべての資格外活動の合計で判定されます。自店の労働時間ではありません。

⑤ ハローワークへの届出を怠らない

届出義務の不履行は、それ自体が罰則対象です

外国人を雇い入れたとき、および離職したときは、ハローワークへの届出が義務づけられています(労働施策総合推進法第28条)。特別永住者と「外交」「公用」の在留資格を除く、すべての外国人が対象です。アルバイトも含まれます。怠ると30万円以下の罰金が科されます。
また、届出を怠っていること自体が、不法就労を隠蔽しているという疑いを招く原因にもなります。

よくある質問

不法就労だと知らなかった場合も罰せられますか

はい。入管法第73条の2第2項により、在留カードの確認を怠るなどの過失があれば、知らなかった場合でも処罰の対象になります。

ただし同項ただし書に「過失のないときは、この限りでない」とあります。在留カードの原本確認、読取アプリでの真偽確認、記録の保管といった通常期待される注意を尽くしていたと証明できれば、処罰を免れる余地があります。

罰則はどのくらいですか

2026年7月時点の現行法では、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科可)です。

令和6年の改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金へ引き上げられます。両罰規定により、法人にも罰金刑が科されます。

なお「2025年6月から厳罰化された」と記載する情報が多数見られますが、これは誤りです。施行日は出入国在留管理庁の公表資料でご確認ください。

留学生を長時間働かせるのは不法就労ですか

資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内)を超えて働かせると、不法就労にあたります。在籍校の長期休業期間中は1日8時間以内まで認められます。

掛け持ちの合計時間で判定されるため、自店で週20時間、他店で週15時間なら合計35時間で超過です。面接時に他店での就労状況を確認し、記録を残してください。

在留カードが本物か確認する方法はありますか

出入国在留管理庁が提供する在留カード等読取アプリで、ICチップ内の情報を読み取れます。これが最も確実です。

あわせて、同庁の「在留カード等番号失効情報照会」で、カード番号が現在有効かを即時に照会できます。目視によるホログラム確認は補助的な手段であり、単独では不十分です。

派遣社員が不法就労だった場合、受入れ先も罰せられますか

問われる可能性があります。「派遣会社が確認しているはず」という思い込みは通用しません。在留カードの提示を拒むなど明らかに不自然な状況を黙認していれば、助長罪の対象になり得ます。

受入れ先としても、在留カードの写しの提供を求めるなど、確認の記録を残しておくことをおすすめします。

まとめ

  • 不法就労は3類型。在留資格がない/許可がない/範囲を超えて働く
  • 働かせた企業も不法就労助長罪(入管法第73条の2)で処罰される
  • 「知らなかった」では免責されない。ただし無過失を証明できれば免れる余地がある
  • 現行の罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科可)
  • 2027年4月1日から5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金へ引き上げ
  • 両罰規定により、担当者個人と法人の双方が罰金刑の対象
  • 罰金刑を受けると、その後5年間は特定技能外国人の受入れができない

不法就労を防ぐ最も確実な方法は、採用時に在留カードの原本を確認し、記録を残すことです。読取アプリでの真偽確認まで行っていれば、無過失を主張する根拠になります。

確認の手間は数分です。事業の存続と比べてください。

在留資格の確認から、
適正な採用の進め方まで

「この業務は任せられるのか」「在留カードのどこを見ればいいのか」
採用の前に確認すべきことを、一緒に整理します。
留学生アルバイトは Wajob、専門職正社員は Wajob Pro が対応します。

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ご相談は無料です。制度のご質問だけでも構いません

出典:出入国管理及び難民認定法 第19条・第73条の2・第76条の2/出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正について」(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律/令和6年法律第60号/公布日:令和6年6月21日/施行日:一部の規定を除き令和9年4月1日)/出入国在留管理庁「『在留カード』及び『特別永住者証明書』の見方」/同「在留カード等番号失効情報照会」/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条

免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の判断にあたっては、出入国在留管理庁の最新の公表情報、または弁護士・行政書士等の専門家にご確認ください。

当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。

最終更新:2026年7月

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監修

HR AGENCY(外国人採用支援サービス)

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