高度専門職2号は、高度専門職1号などで3年以上活動した人が移行できる、在留期間が無期限の在留資格です。活動範囲が大きく広がり、所属機関の指定もなくなります。この記事では、1号との違いと取得条件を整理したうえで、日本で長くキャリアを築くうえで2号が何を変えるのか――永住権とどう違うのか、転職はどう変わるのかを解説します。
この記事の要点
- 2号は在留期間が無期限。1号の5年ごとの更新がなくなる
- 1号などで3年以上活動していることが要件のひとつ
- 1号と違い所属機関の指定がなく、転職時の手続き負担が軽くなる
- 活動範囲が広がるが、単純労働は認められない
- 永住とは別の在留資格。親の帯同など2号にしかない優遇措置もある
- 在留カードは7年ごとに更新が必要
高度専門職2号とは
高度専門職2号は、高度専門職1号または高度外国人材としての「特定活動」の在留資格で一定期間在留した人を対象に、在留期限を無期限とし、活動制限を大きく緩和した在留資格です。出入国在留管理庁は、高度な専門的能力を持つ外国人の受入れをより一層促進するために設けられた制度としています。
高度専門職は「1号を取得し、実績を積んでから2号へ移行する」という段階的な設計になっています。1号が在留期間5年で更新が必要なのに対し、2号は在留期間そのものに満了日が設定されません。
「無期限」は「手続きが不要」という意味ではありません
2号の在留期間は無期限ですが、在留カードには7年の有効期限があり、更新(切替)の手続きが必要です。また、所属機関に変更があった場合の届出義務など、他の在留資格と同様の手続きは残ります。無期限になるのは在留期間であって、在留資格としての性質が変わるわけではありません。
高度専門職1号との違い
1号と2号は、同じ高度専門職でも制度上の扱いが大きく異なります。
| 項目 | 高度専門職1号 | 高度専門職2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 5年(更新が必要) | 無期限 |
| 所属機関 | 法務大臣が指定(指定書が交付される) | 指定がない |
| 活動範囲 | イ・ロ・ハのいずれかの活動と、それに関連する事業の経営 | 1号イ・ロ・ハの全ての活動に加え、就労資格で認められるほぼ全ての活動 |
| 転職時 | 在留資格変更許可申請が必要 | 所属機関に関する届出 |
| 取消事由となる期間 | 本来の活動を継続して3か月以上行っていない場合 | 継続して6か月以上行っていない場合 |
| 審査の優先処理 | 優遇措置として受けられる | 2号への変更申請では受けられない |
最も大きな違いは所属機関の指定の有無です。1号ではパスポートに指定書が貼付され、そこに記載された機関でのみ就労できます。2号では指定書が交付されません。出入国在留管理庁は、2号について「所属機関が2か所以上になる場合がありますので、その際は全ての所属機関について届出を行ってください」としており、複数の機関に所属することも想定されています。
優遇措置は2号でも継続します
永住許可要件の緩和、配偶者の就労、親の帯同、家事使用人の帯同といった高度外国人材の優遇措置は、2号になっても継続します。2号は1号の優遇措置を引き継いだうえで、在留期間と活動範囲がさらに広がる位置づけです。
2号になると転職はどう変わるか
1号と2号で最も実務上の差が出るのが、転職時の扱いです。
1号と2号で、入管の案内が異なります
出入国在留管理庁は、高度専門職1号について「所属機関が法務大臣によって指定されるため、転職して所属機関が変わる場合は在留資格変更許可申請を行う必要があります」としています。一方、高度専門職2号については、所属する機関に変更(消滅、名称変更、所在地変更、離脱、移籍)があった場合の届出について案内されており、「所属機関が2か所以上になる場合がありますので、その際は全ての所属機関について届出を行ってください」とされています。2号には法務大臣による所属機関の指定がありません。
このように、1号では所属機関が指定されるため転職時に在留資格変更許可申請が必要ですが、2号では所属機関に関する制度設計が異なり、入管でも所属機関変更時の届出について案内されています。そのため、1号と比べると、2号は転職時の手続き負担が大きく軽減されます。
1号の転職で起きること
比較のために、1号の場合に何が起きるかを整理します。
- 転職のたびに在留資格変更許可申請 — 同じ「1号ロ」から「1号ロ」への移行でも、勤務先が変われば申請の対象になる
- 許可が下りるまで働けない — 申請が許可されてはじめて新しい勤務先での就労が適法になる。退職日と入社日の間に空白が生じないよう調整が必要
- ポイントが再計算される — 転職先の年収・職務内容をもとに、改めて70点以上あることが確認される
転職を重ねる可能性があるキャリアでは、この手続きが繰り返し発生します。2号になると、この負担が軽くなります。
2号でも変わらないこと
- 届出は必要 — 所属機関に変更があった場合、14日以内に届出を行う
- 活動の前提は残る — 高度専門職としての活動が前提であり、単純労働は認められない
- 6か月の取消事由 — 本来の活動を継続して6か月以上行っていない場合、在留資格の取消事由に該当し得る
個別の手続きは必ず確認を
転職に伴い必要となる手続きは、変更後の職務内容や所属の形態によって異なります。実際の取扱いは出入国在留管理庁が個別に判断するものであり、判断に迷う場合は入管の窓口や、入管業務を扱う専門家に確認することをおすすめします。
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高度専門職2号と永住権の違い
2号は在留期間が無期限になるため、永住権と比較されることが多い在留資格です。ただし、両者は制度上まったく別のものです。
| 項目 | 高度専門職2号 | 永住者 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 無期限 | 無期限 |
| 在留カード | 7年ごとに更新 | 7年ごとに更新 |
| 活動の制限 | 高度専門職としての活動が前提。単純労働は認められない | 制限なし。職種を問わず就労できる |
| 就労していない期間 | 本来の活動を6か月以上行っていない場合、取消事由に該当し得る | 就労していなくても在留できる |
| 親の帯同 | 一定の要件のもと可能 | できない |
| 家事使用人の帯同 | 一定の要件のもと可能 | できない |
| 取得までの期間 | 1号等で3年以上 | 高度外国人材なら70点で3年、80点で1年。それ以外は原則10年 |
キャリアの視点で見ると、どう違うか
制度の違いを、キャリアの判断に置き換えると次のようになります。
- 専門職としてキャリアを積んでいく — 2号の活動範囲で足りることが多い。加えて、親の帯同という2号にしかない選択肢がある
- 専門分野を離れる可能性がある — 2号は高度専門職としての活動が前提。分野を大きく変える、あるいは専門職を離れる可能性があるなら、活動制限のない永住の方が自由度が高い
- 独立・起業を考えている — 2号でも関連する事業の経営は認められるが、活動の性質によっては該当性が問われる。永住なら制限がない
- 離職期間が生じる可能性がある — 2号は本来の活動を6か月以上行っていないと取消事由に該当し得る。永住にはこの制約がない
- 親を日本に呼びたい — 高度外国人材の優遇措置として、一定の要件のもと親の帯同が認められる。永住ではこの措置はない
「どちらか一方」ではありません
2号と永住は排他的な関係ではありません。高度外国人材として認められれば永住許可要件が緩和されるため、1号のまま永住を目指す、2号を取得してから永住を検討する、といった順序も考えられます。どちらを選ぶかは、日本でのキャリアと生活をどう設計するかによって変わります。
高度専門職2号を取得する条件
出入国在留管理庁が示す2号の要件は、在留年数だけではありません。
- 活動の該当性 — 行おうとする活動が、入管法別表第1の2の表の「高度専門職2号」の活動に該当すること
- ポイント70点以上 — 高度専門職の基準を定める省令にもとづき計算したポイントの合計が70点以上であること
- 3年以上の在留と活動 — 高度専門職1号または高度外国人材としての「特定活動」の在留資格で日本に3年以上在留し、その在留資格に該当する活動を行っていたこと
- 素行が善良であること
- 在留が日本国の利益に合すると認められること
- 日本の産業および国民生活に与える影響等の観点から相当でないと認める場合でないこと
納税・年金・保険の記録が確認されます
2号への変更申請では、直近5年分の所得および納税状況を証明する資料、過去2年分の公的年金・公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料の提出が求められます。ポイント70点を維持して3年以上在留している場合は直近3年分、80点を維持して1年以上在留している場合は直近1年分に軽減されます。日々の納付状況が、後の申請で確認される仕組みです。
なお、J-Skip(特別高度人材制度)に該当する場合は、2号への移行に必要な期間が3年から1年に短縮されます。
高度専門職2号の価値が高くなりやすい人
2号は「取れるなら取った方がよい」という性質のものではなく、キャリアの方向性によって価値が変わります。
| ケース | なぜ2号が向くか |
|---|---|
| 日本で中長期的に働く予定 | 5年ごとの更新がなくなり、在留期間を気にせずキャリアを設計できる |
| 転職の可能性がある | 1号では転職のたびに変更許可申請が必要になる。2号は所属機関の指定がなく、手続きの負担が軽い |
| 複数の機関に関わる働き方 | 入管も2号について所属機関が2か所以上になる場合を想定している |
| 専門性を軸にキャリアを重ねる | 活動範囲が1号より広く、就労資格で認められるほぼ全ての活動が可能になる |
| 親を日本に呼びたい | 高度外国人材の優遇措置として、一定の要件のもと親の帯同が認められる |
逆に、専門分野を大きく離れる可能性がある場合や、就労しない期間が生じる可能性がある場合は、活動制限のない永住の方が合うこともあります。2号は「高度専門職としてキャリアを続ける人」のための制度であり、その前提が変わるなら別の選択肢を検討する余地があります。
よくある質問
高度専門職2号になれば、永住権は不要ですか。
どちらが合うかはキャリアと生活の設計によります。2号は在留期間が無期限で、親の帯同など永住にはない優遇措置がありますが、高度専門職としての活動が前提で単純労働は認められず、本来の活動を6か月以上行っていない場合は取消事由に該当し得ます。永住は活動に制限がなく、就労していなくても在留できます。専門職として続けるなら2号で足りることが多く、分野を離れる可能性があるなら永住の自由度が生きます。
2号でも在留カードの更新は必要ですか。
必要です。在留期間は無期限ですが、在留カード自体には7年の有効期限があるため、更新(切替)の手続きが必要になります。これは永住者も同じです。
2号になったら、転職しても手続きは要りませんか。
所属機関に変更があった場合は、14日以内に届出を行う必要があります。1号では所属機関が法務大臣によって指定されるため転職時に在留資格変更許可申請が必要ですが、2号には所属機関の指定がなく、入管では所属機関変更時の届出について案内されています。そのため1号と比べると手続きの負担は軽くなります。個別の取扱いは職務内容や所属の形態によって異なるため、入管の窓口や専門家にご確認ください。
1号から2号へは、いつ申請できますか。
高度専門職1号または高度外国人材としての「特定活動」の在留資格で日本に3年以上在留し、その活動を行っていたことが要件のひとつです。このほか、ポイント70点以上、素行が善良であることなどの要件があります。J-Skip(特別高度人材制度)に該当する場合は、この期間が1年に短縮されます。
2号になると、どんな仕事でもできますか。
活動範囲は大きく広がり、1号イ・ロ・ハの全ての活動に加えて、就労資格で認められるほぼ全ての活動が可能になります。ただし、全く制限がなくなるわけではなく、単純労働に属する就労活動は原則として認められません。高度専門職としての活動が前提である点は変わりません。
J-Skipなら、2号まで1年ですか。
J-Skip(特別高度人材制度)に該当する場合、2号への移行に必要な期間は3年から1年に短縮されます。J-Skipは、ポイント計算によらず、学歴または職歴と年収が一定の水準以上であれば高度専門職を付与する制度です。1号イ・ロでは「修士号以上かつ年収2,000万円以上」または「実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上」、1号ハでは「経営・管理の実務経験5年以上かつ年収4,000万円以上」が要件とされています。
2号の申請は、1号と同じように早く審査されますか。
高度専門職の優遇措置には入国・在留手続の優先処理がありますが、2号への変更申請ではこの優先処理の対象外とされています。審査には期間を要するため、時間に余裕をもって準備することをおすすめします。
高度専門職を活かせる分野を見る
- 外資系IT・クラウド
- ERP・ITコンサルティング
- ライフサイエンス・医療機器
- 製造・半導体
- 外資系金融
2号は、日本で専門職としてキャリアを続けることを前提にした制度です。どの分野で専門性を重ねるかが決まると、制度の使い方も見えてきます。
あわせて読みたい
出典:出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』(高度人材ポイント制)」「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」「所属(契約)機関に関する届出」「出入国審査・在留審査Q&A」ほか、同庁の公表情報にもとづきます。
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。在留資格の該当性、必要となる手続き、許可・不許可の判断は、申請内容をもとに出入国在留管理庁が個別に審査するものであり、本記事の記載が許可を保証するものではありません。制度・要件は改定される場合があります。最新かつ正確な情報は、出入国在留管理庁の公表情報をご確認ください。個別の申請手続きについては、入管業務を扱う専門家にご相談ください。
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最終更新:2026年7月
監修
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