フィリピンは、令和7年末時点で在留者数が35万6,579人。国籍・地域別で第4位です。在留資格は永住者40.3%・定住者17.9%で、就労制限のない身分系が65.6%を占めます。同時に技能実習11.9%・特定技能10.1%も抱えており、身分系と現場系の両方が一定規模で存在する構成です。本記事では出入国在留管理庁の統計をもとに、フィリピン出身者の在留資格構成と、採用時に企業が確認すべきポイントを整理します。
この記事の要点
- 令和7年末の在留者数は356,579人(前年末比+15,061人)。国籍・地域別で第4位
- 在留資格は永住者40.3%・定住者17.9%・技能実習11.9%・特定技能10.1%。技人国は3.2%
- 身分系(永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者)が65.6%
- 全国の定住者(226,438人)の28.2%がフィリピン出身者
- 永住者は在留期間が無期限だが、定住者は在留期間があり更新が必要。就労制限がない点は共通だが、期限管理が異なる
フィリピンの在留状況(令和7年末)
出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」によると、在留外国人数は412万5,395人で、統計上はじめて400万人を超えました。このうちフィリピンは356,579人で、国籍・地域別の第4位です。
前年末(令和6年末・341,518人)と比べると+15,061人(+4.4%)。在留外国人全体に占める割合は8.6%です。
「在留者数」は採用可能人数ではありません
ここで示す356,579人は、日本に在留しているフィリピン出身者の総数です。年齢・居住地・就業状況・転職意向は含まれていません。また、在留資格によっては就労が制限されます。採用計画を立てる際の参考値としてご覧ください。
在留資格の構成
出入国在留管理庁の統計表(第2表)から、令和7年末時点の内訳は次のとおりです。
| 在留資格 | 人数 | 構成比 | 就労の制限 |
|---|---|---|---|
| 永住者 | 143,784 | 40.3% | 制限なし |
| 定住者 | 63,937 | 17.9% | 制限なし |
| 技能実習 | 42,289 | 11.9% | 実習計画の範囲内 |
| 特定技能 | 35,862 | 10.1% | 分野内の業務のみ |
| 日本人の配偶者等 | 26,119 | 7.3% | 制限なし |
| 技術・人文知識・国際業務 | 11,485 | 3.2% | 専門業務のみ |
| 家族滞在 | 6,608 | 1.9% | 原則不可(資格外活動許可で週28時間以内) |
| 特定活動 | 5,449 | 1.5% | 個別の指定による |
| 留学 | 2,769 | 0.8% | 原則不可(資格外活動許可で週28時間以内) |
| 特別永住者 | 46 | 0.0% | 制限なし |
| その他 | 18,231 | 5.1% | 在留資格による |
| 合計 | 356,579 | 100.0% | — |
まとめると、次の3つのグループに整理できます。
- 身分系(永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者):233,886人・65.6% — 就労に職種や時間の制限がありません(※「身分系」の定義は記事末尾をご覧ください)
- 技能実習・特定技能:78,151人・21.9% — 就ける業務が分野・実習計画の範囲内に限定されます
- 技術・人文知識・国際業務(技人国):11,485人・3.2% — 専門知識や語学力を活かす業務に限定されます
永住者と定住者は、期限管理が異なる
フィリピン出身者の採用実務で押さえておきたいのが、この区別です。いずれも就労制限はありませんが、在留期間の扱いが異なります。
| 永住者 | 定住者 | |
|---|---|---|
| 就労の制限 | なし | なし |
| 在留期間 | 無期限 | 6か月・1年・3年・5年 |
| 在留期間の更新 | 不要 | 必要 |
| 在留カードの有効期間 | あり(切替が必要) | あり |
| 外国人雇用状況の届出 | 必要 | 必要 |
定住者の在留期間
出入国在留管理庁は、定住者について「この在留資格を持つ外国人は、在留活動上の制限はありませんので、公序良俗に反する仕事以外どのような職業にも就くことができますが、『永住者』とは違い在留期間が決められていますので、在留期間の更新手続きが必要です」としています。
定住者には、告示で定められた類型(告示定住者)と、法務大臣が個別に判断する類型(告示外定住者)があります。いずれも在留期間が指定され、期限前の更新が必要です。
永住者は在留期間が無期限で、更新は不要です。ただし在留カード自体には有効期間があり、切替が必要です。この点は定住者と共通します。
構成から読み取れる採用実務上のポイント
身分系が3分の2を占める
永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者を合わせると233,886人(65.6%)。これらの在留資格には就労の職種・時間の制限がありません。就労資格に制限がある業務でも、身分系の在留資格を持つ方は対象となります。
参考までに、ブラジルは95.6%、韓国は83.0%、台湾は46.3%、中国は44.8%です。
全国の定住者の28.2%
全国の定住者は226,438人。そのうち63,937人(28.2%)がフィリピン出身者です。定住者の比率17.9%は、上位10か国・地域のなかでブラジル(32.8%)に次ぐ水準となっています。全国の定住者に占める割合が高いことは、フィリピン出身者の在留資格構成を理解するうえで参考になります。
技能実習・特定技能も2割を超える
技能実習42,289人(11.9%)と特定技能35,862人(10.1%)を合わせると78,151人(21.9%)。技能実習・特定技能が21.9%、身分系が65.6%という構成です。
ベトナム(52.0%)やインドネシア(79.6%)ほど技能実習・特定技能に偏っておらず、韓国(0.1%)やブラジル(0.0%)のように身分系に集中してもいません。
技人国は3.2%
技人国は11,485人(3.2%)。比率としては上位10か国・地域のなかで低い水準です。比率と実数は異なるため、採用市場の規模は別に確認する必要があります。
在留資格の構成は、能力や適性を示すものではありません
本記事で示しているのは、日本に在留しているフィリピン出身者がどの在留資格を持っているかという統計上の分布です。個々人の日本語力・職務経験・適性を示すものではなく、また国籍によって採否を判断すべきという趣旨でもありません。採用の可否は、あくまで在留カードに記載された在留資格と、担当いただく業務の内容によって判断してください。
採用時に確認すべきこと
国籍にかかわらず、外国人を採用する際の確認事項は共通です。
- 在留カードの原本を確認する — コピーやスマートフォンの画像ではなく、原本で確認します
- 在留資格と就労制限の有無を確認する — カード表面の「在留資格」欄と「就労制限の有無」欄を見ます
- 在留期限を確認する — 定住者は在留期間があります。期限が近い場合は、更新手続きの見込みも含めて確認します
- 資格外活動許可の有無を確認する — 留学・家族滞在の方をアルバイトで採用する場合、カード裏面の許可欄を確認します
- 業務内容が在留資格の範囲内か確認する — 技人国の方に単純作業を任せることはできません
- 外国人雇用状況の届出を行う — 永住者・定住者を含め、雇い入れ時・離職時に届出義務があります
在留カードの真偽確認
出入国在留管理庁は「在留カード等読取アプリケーション」を無償で提供しています。ICチップの情報を読み取り、券面情報と照合できます。あわせて「失効情報照会」で、カードが有効かどうかも確認できます。
在留資格を確認したうえで、自社で採用可能か判断が難しい場合は、専門家へ相談する方法もあります。
外国人採用について、ご相談ください
在留資格の確認から、採用方法の整理までサポートしています。
どの在留資格の方を採用できるか分からない段階からご相談いただけます。
初期費用0円/成功報酬型/首都圏を中心に対応
入社後に整えたいこと
定住者の在留期間を管理する
定住者には6か月・1年・3年・5年のいずれかの在留期間が指定され、期限前の更新が必要です。就労制限がないことと、在留期間があることは別の話です。更新時期を一覧で管理し、期限の2〜3か月前に本人へ確認する運用が現実的です。
更新は自動ではありません。在留資格の根拠となった事情に変化があった場合、更新が認められないこともあります。
永住者も在留カードの切替が必要
永住者は在留期間が無期限ですが、在留カードには有効期間があります。有効期間満了前に切替の手続きが必要です。「永住者だから期限管理は不要」という理解は誤りです。
業務内容と在留資格の整合を保つ
技人国で採用した方の担当業務が、配置転換によって在留資格の範囲を外れることがあります。異動や職務変更の際は、業務内容が引き続き専門業務にあたるかを確認してください。身分系の在留資格の方については、この確認は不要です。
よくある質問
フィリピン出身者を採用する際、何を確認すればよいですか。
在留者数と採用可能人数は一致しません。確認すべきは在留資格・就労制限・在留期限です。フィリピン出身者は永住者と定住者で58.2%を占めますが、定住者には在留期間があり更新が必要です。就労制限がないことと、期限管理が不要であることは別です。
永住者と定住者は、どう違いますか。
いずれも就労制限はありません。ただし永住者は在留期間が無期限で更新が不要なのに対し、定住者には6か月・1年・3年・5年のいずれかの在留期間が指定され、期限前の更新が必要です。外国人雇用状況の届出は、どちらも必要です。
永住者であれば、在留カードの期限を気にしなくてよいですか。
在留期間は無期限ですが、在留カード自体には有効期間があります。有効期間満了前に切替の手続きが必要です。採用時・在職中とも、カードの有効期間の確認は必要です。
技能実習の方を、実習計画にない業務に配置できますか。
できません。技能実習は実習計画の範囲内の業務に限定されます。範囲を超えて就労させた場合、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。特定技能も、分野内の業務に限定されます。
採用選考で国籍を条件にしてよいですか。
職業安定法および厚生労働省の指針により、国籍を理由とする差別的な取扱いは認められていません。確認すべきは在留資格と就労制限の有無であり、国籍そのものではありません。
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出典:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(令和8年3月公表)【第1表】国籍・地域別 在留外国人数の推移/【第2表】国籍・地域別 在留資格別 在留外国人数/同「令和6年末現在における在留外国人数について」/出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」関連情報/出入国管理及び難民認定法 別表第二・第19条・第73条の2/職業安定法 第3条/厚生労働省「外国人雇用状況の届出」関連情報
数値について:構成比は在留者数356,579人を分母として当社が算出したものです。全国比は各在留資格の全国総数を分母としています。表示桁数未満は四捨五入しています。「身分系」は永住者・定住者・日本人の配偶者等・特別永住者の合計を指す当社の整理であり、法令上の分類名ではありません。「永住者の配偶者等」も就労制限のない在留資格ですが、出入国在留管理庁が公表する国籍・地域別統計では内訳を確認できないため、本記事の集計には含めていません。
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の採用にあたっては、出入国在留管理庁または行政書士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。
最終更新:2026年7月
監修
HR AGENCY(外国人採用支援サービス)
外国人アルバイト紹介・外国人正社員紹介・外国人採用コンサルティングを提供。首都圏を中心に、企業向けの外国人採用支援を行っています。


