警備員の外国人採用にかかる費用|正社員紹介の相場と助成金【2026年版】

「若手警備員の求人に応募が来ない」「夜勤や大型イベントの欠員を埋める採用単価が高い」——警備会社の採用担当者から、こうした声をよく聞きます。
解決策として外国人採用を検討する会社が増えていますが、いざ進めようとすると「結局いくらかかるのか」「助成金は使えるのか」が分かりにくい。
この記事では、警備会社が外国人を採用するときの費用の全体像と、実際に使える助成金の正確な金額を整理します。

この記事の結論

  • 警備業務に従事できるのは身分系在留資格の方のみ。約165万人の母集団がある
  • 身分系は就労制限がないため、正社員紹介の相場(理論年収の20〜35%)が適用される
  • 新任教育20時間は外国人も免除されない。研修中の賃金は必ず発生する
  • 助成金は1制度導入につき20万円・上限80万円(人材確保等支援助成金)
  • ただし離職率15%以下が受給要件。採って終わりでは受け取れない
  • 在留カードの確認はコストではなくリスク管理。警備会社は認定取消しのリスクも負う

前提:警備業で採用できる在留資格は限られる

費用の話に入る前に、確認しておくべきことがあります。

警備業務に従事できるのは、原則として身分系在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・特別永住者)の方だけです。特定技能・技能実習・技術・人文知識・国際業務では、警備業務に就くことができません。

また、留学生の資格外活動許可による警備業務については実務上の取扱いが定まっておらず、当社では紹介を行っていません。詳しくは警備員に外国人はなれる?採用できる在留資格・できない在留資格をご覧ください。

この前提が、費用構造を決めます。身分系在留資格の方は就労時間に制限がなく、正社員としての採用が前提になる。したがって紹介料は、アルバイト紹介ではなく正社員紹介の相場が適用されます。

警備会社が外国人を採用するときの費用

外国人採用にかかる費用は、「採用にかかる費用」「在留資格まわりの費用」「入社後の教育・定着にかかる費用」の3つに分けると整理しやすくなります。

警備会社の外国人採用にかかる費用の目安(1名あたり)
費用の種類 目安 発生タイミング
人材紹介の紹介料 30万円〜
(理論年収の20〜35%)
採用決定時のみ
求人媒体の掲載費 月20万〜40万円 応募がなくても発生
在留資格の確認 0〜5万円
(自社対応なら無料)
採用時
新任教育(20時間以上) 2万〜5万円相当
(研修中の賃金+教材費)
入社時・必須
多言語教材の整備 初回 5万〜20万円 初回のみ
入社後の定着支援 0〜3万円/月 任意

紹介料は「アルバイト相場」ではありません

飲食や小売の留学生アルバイト紹介では、1名あたり数万円という相場もあります。しかし警備業では身分系在留資格の方を正社員として採用するため、理論年収の20〜35%という正社員紹介の相場が適用されます。

一般職で25〜30%、管理職・専門職で30〜35%が目安です。年収300万円なら60万〜90万円。ここは他業種の外国人採用記事と混同しないでください。

ただし、成功報酬型であれば採用が決まるまで費用は発生しません。求人媒体のように、応募が来ないまま掲載費だけが積み上がるリスクはありません。

新任教育20時間は、必ず発生します

警備業法第21条に基づき、新たに警備業務に従事させる警備員には20時間以上の新任教育を実施しなければなりません。外国人であることを理由とした免除規定はありません。

研修期間中も賃金が発生します。時給1,200円なら20時間で24,000円。これに教育担当者の人件費、教材費が加わります。

日本語能力に応じて、教材の多言語化や通訳の手配が必要になる場合もあります。ここでコストを削ると、理解不足による事故ややり直しが発生し、結果的に高くつきます。

使える助成金:人材確保等支援助成金

外国人が働きやすい環境を整える取り組みには、厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を活用できる場合があります。

支給額は「1制度導入につき20万円・上限80万円」

受給要件をすべて満たした場合、1制度導入につき20万円(上限80万円)が支給されます。

導入する措置は、下記の1と2が必須。これに加えて3〜5のいずれかを選択します。

区分 就労環境整備措置
必須 1. 雇用労務責任者の選任
必須 2. 就業規則等の多言語化
選択 3. 苦情・相談体制の整備
選択 4. 一時帰国のための休暇制度の整備
選択 5. 社内マニュアル・標識類等の多言語化

警備会社であれば、5の「社内マニュアル・標識類等の多言語化」が現実的です。警備指令書、緊急連絡フロー、装備品の取扱説明など、多言語化する価値のある文書が揃っているはずです。

対象となる経費

外部の機関や専門家に委託した場合、次の経費が支給対象として考えられます。

  • 通訳費
  • 翻訳機器導入費(雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要なものに限る)
  • 翻訳料(社内マニュアル・標識類等の多言語化を含む)
  • 弁護士、社会保険労務士等への委託料(就労環境整備措置に要するもの)
  • 社内標識類の設置・改修費(多言語の標識類に限る)

最大の関門は「離職率15%以下」です

受給要件のひとつに、就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が15%以下であることがあります。
つまり、この助成金は「採用したら受け取れる」ものではありません。定着させて初めて受け取れる制度です。採用単価を下げる目的で申請しても、早期離職が続けば1円も入りません。

そのほか、無期雇用への転換に使える「キャリアアップ助成金」、試用期間中に活用できる「トライアル雇用助成金」、研修費用を補助する「人材開発支援助成金」などもあります。

助成金は要件や金額が年度ごとに改正されます。実際の申請にあたっては、必ず厚生労働省の最新のパンフレットを確認し、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

求人媒体と人材紹介、どちらが向いているか

施設警備・交通誘導・イベント警備のスタッフを5名採用したい、というケースで比較します。

比較項目 求人媒体 人材紹介
費用の発生 応募がなくても発生 採用決定時のみ
在留資格の絞り込み 応募後に自社で確認 身分系のみに絞れる
応募者対応・面接調整 自社 紹介会社
母集団 広い 紹介会社の保有人材に依存
5名採用時の概算 月20〜40万円×数か月 30万円×5名〜

警備業で特に重いのが、在留資格の絞り込みです。求人媒体では、応募が来てから在留カードを確認し、身分系でなければお断りする、という工程が毎回発生します。応募100件のうち採用可能なのが数名、という事態も起こり得ます。

「就労制限なし」の在留カードを持つ方だけを候補にできること。これが警備業では他業種以上に大きな意味を持ちます。

在留カードの確認は、コストではなくリスク管理です

採用時には在留カードの原本を確認し、表面の「就労制限の有無」欄が「就労制限なし」であることを確かめてください。出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリでの真偽確認も推奨されています。

出入国管理及び難民認定法 第73条の2(不法就労助長罪)

事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者、外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者、業として外国人に不法就労活動をさせる行為に関しあっせんした者を、処罰の対象とする。

この罪は「知らなかった」では免責されません(同条第2項)。在留カードの確認を怠るなど過失があれば、故意でなくとも処罰対象となり得ます。

現行の罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科可)です。さらに、令和6年の改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金へ引き上げられます。両罰規定(入管法第76条の2)により、行為者個人だけでなく法人にも罰金刑が科され得ます。

警備会社にとっては、罰金よりも重い結果があります

警備業は都道府県公安委員会の認定を受けて営む事業です。役員が拘禁刑以上の刑に処せられた場合、警備業法第3条の欠格事由に該当し、認定の取消しにつながる可能性があります。事業の存続そのものが問われます。
在留カードの確認にかける数分は、コストではありません。事業を守るための最低限のリスク管理です。

見落としやすい、警備会社ならではのコスト

繁忙期の増員には、1〜2か月前からの準備が必要

大型イベントや繁忙期に増員が必要になっても、新任教育20時間を終えなければ現場に出せません。募集開始から現場配置まで、最低でも1〜2か月を見込んでください。

「来月から10名」という計画は、警備業では成立しません。他業種の外国人採用とは、ここが決定的に違います。

ハローワークへの届出は義務です

雇入れ時・離職時の届出を忘れずに

外国人を雇い入れたとき、および離職したときは、ハローワークへの届出が義務づけられています(労働施策総合推進法第28条)。特別永住者と「外交」「公用」の在留資格を除く、すべての外国人が対象です。怠ると30万円以下の罰金が科されます。
なお、人材確保等支援助成金の受給要件にも「外国人雇用状況届出を適切に届け出ていること」が含まれています。届出を怠っている場合、助成金は支給されません。

よくある質問

外国人だから安く雇えますか

いいえ。労働基準法は国籍を問わず適用されます。日本人と同等以上の賃金を支払う必要があり、賃金を理由とした差別的取扱いは禁止されています。

むしろ新任教育の多言語対応や通訳の手配など、日本人採用にはないコストが上乗せされます。「安い労働力」として外国人採用を検討するなら、期待は外れます。

助成金を当てにして採用計画を立てても大丈夫ですか

おすすめしません。人材確保等支援助成金の受給要件には離職率15%以下が含まれており、支給決定は計画期間の末日以降になります。入金は採用から1年以上先です。

また、助成金の額(上限80万円)は、5名採用時の紹介料(150万円〜)を下回ります。助成金は採用コストの補填ではなく、定着投資への還付と捉えてください。

身分系在留資格の方は、これから増えますか

ほとんど増えません。永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・特別永住者の合計は、令和7年末時点で1,649,925人。前年比+1.8%です。特別永住者に至っては−2.6%と減少しています。

一方、日本で働く外国人全体は前年比11.7%増。警備業が使える母集団だけが、年2%未満でしか増えません。特定技能や技能実習を使える業種は送り出し国から新規に確保できますが、警備業にはそれができない。採用チャネルの構築を後回しにするほど、条件は不利になります。

まとめ

  • 警備業務に従事できるのは身分系在留資格の方のみ。正社員紹介の相場が適用される
  • 紹介料は理論年収の20〜35%。成功報酬型なら採用が決まるまで費用は発生しない
  • 新任教育20時間は外国人も免除されない。研修中の賃金と教材費を必ず見込む
  • 助成金は1制度導入につき20万円・上限80万円。ただし離職率15%以下が要件
  • 助成金は採用コストの補填ではなく、定着投資への還付と考える
  • 在留カードの確認を怠れば、罰金だけでなく警備業の認定取消しにつながり得る
  • 繁忙期の増員は、新任教育を含めて1〜2か月前から準備する

外国人採用の費用は、紹介料という一時金だけでは測れません。新任教育、多言語化、定着支援まで含めた総額で判断してください。

そして最も高くつくのは、採用できないまま時間が過ぎることです。安い媒体に出し続けて応募が集まらない数か月のあいだにも、現場の欠員は続いています。

警備業は在留資格の制約があり、費用構造も他業種と大きく異なります。飲食・小売なども含めた外国人採用の費用の全体像と比べて把握したい方は、外国人採用の費用はいくら?総合ガイドもあわせてご覧ください。

警備業の外国人採用、
費用と進め方を整理します

「身分系在留資格の方をどう集めるのか」「新任教育のコストをどう抑えるのか」
まずは現在の採用状況と、必要な人数・時期をお聞かせください。
成功報酬型のため、採用が決まるまで費用は発生しません。

警備業の外国人採用を相談する

ご相談は無料です。特定技能は取り扱っておりません

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(令和8年4月1日版パンフレット)/出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(令和8年3月公表)第3表/厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(令和8年1月30日公表)/警備業法(昭和47年法律第117号)第3条・第21条/出入国管理及び難民認定法 第73条の2・第76条の2/出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正について」(法律第60号の施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日)/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条

費用相場について:本記事に記載した費用は一般的な傾向を整理したものです。実際の金額は業者・地域・職種により変動します。

助成金について:助成金の要件・金額は年度ごとに改正されます。申請にあたっては厚生労働省の最新のパンフレットを確認し、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。助成金の申請可否は個別の状況によります。

当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。

最終更新:2026年7月

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監修

HR AGENCY(外国人採用支援サービス)

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