「警備員として外国人を採用したい」——人手不足が深刻化するなか、警備業の経営者・採用担当者からこの相談が増えています。
結論から申し上げると、外国人が警備員になること自体は法律で禁止されていません。ただし、採用できる在留資格は限られます。そして「留学生のアルバイト」については、実務家の間で見解が分かれているのが現状です。
この記事では、警備業法と入管法の条文に立ち返り、何が確実に言えて、何が言えないのかを整理します。
この記事の結論
- 警備業法に「外国人は警備員になれない」という規定は存在しない
- 確実に採用できるのは身分系在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・特別永住者)
- 技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習では警備業務に従事できない
- 「留学+資格外活動許可」については実務家の見解が分かれている。当社は紹介を行っていません
警備業法に「国籍」の要件はない
まず、最もよくある誤解から解きます。「警備員は日本人でなければならない」という規定は、警備業法のどこにもありません。
警備員になれない人の条件は、警備業法第14条(警備員の制限)に定められています。同条は「18歳未満の者又は第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならない」と規定し、その第3条第1号〜第7号には次のような事由が列挙されています。
警備業法 第3条第1号〜第7号(欠格事由・要約)
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
- 拘禁刑以上の刑、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日等から5年を経過しない者
- 最近5年間に、警備業法等の規定に違反し、又は警備業務に関し他の法令に違反する重大な不正行為をした者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 暴力団対策法による命令又は指示を受けた日から3年を経過しない者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
ご覧のとおり、「外国人」「外国籍」という文言は一切登場しません。18歳以上で、上記のいずれにも該当しなければ、国籍を問わず警備員になる資格があります。
「外国人が警備員になれるのはいつから?」——解禁日というものはありません
この質問をよくいただきますが、外国人の警備員就業を解禁した法改正というものはなく、上記のとおり現行の警備業法にも国籍要件はありません。つまり「◯年から可能になった」という時点は存在しません。
制度として「いつから」が問われているのは、むしろこれからの話です。就労制限のある在留資格(特定技能など)で警備業務ができるようになるのはいつからか——こちらは2026年9月に警察庁が有識者検討会を立ち上げた段階で、まだ決まっていません(後述)。
では何が制約になるのか。入管法上の在留資格です。警備業法ではなく、入管法の側で決まります。ここを混同すると、判断を誤ります。
在留資格別・警備業務の可否
在留資格は大きく、「身分・地位に基づく在留資格(身分系)」と「活動に基づく在留資格(就労系・非就労系)」に分かれます。警備業務に従事できるかどうかは、この区分でほぼ決まります。
| 在留資格 | 警備業務 | 理由 |
|---|---|---|
| 永住者 | 可 | 就労活動に制限がない。日本人と同じ条件で、正社員・アルバイトを問わず雇用できる |
| 定住者 | 可 | |
| 日本人の配偶者等 | 可 | |
| 永住者の配偶者等 | 可 | |
| 特別永住者 | 可 | |
| 技術・人文知識・国際業務 | 不可 | 警備業務は同資格の該当活動(学術的素養・外国文化に基づく業務)に含まれない |
| 特定技能 | 不可 | 特定技能の受入れ分野に警備業は含まれていない |
| 技能実習 | 不可 | 移行対象職種に警備業務はない |
| 育成就労 (2027年4月施行予定) |
不可 | 現時点で公表されている育成就労産業分野に警備業は含まれていない |
| 留学(資格外活動許可) | 見解が分かれる | 下記で詳述 |
確実に採用できるのは身分系。母集団は約165万人
出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年末現在の在留外国人数は412万5,395人。このうち身分系在留資格の内訳は次のとおりです。
| 在留資格 | 人数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 永住者 | 947,125人 | +3.2% |
| 特別永住者 | 266,896人 | −2.6% |
| 定住者 | 226,438人 | +1.4% |
| 日本人の配偶者等 | 152,898人 | +1.3% |
| 永住者の配偶者等 | 56,568人 | +5.5% |
| 合計 | 1,649,925人 | +1.8% |
合計すると約165万人。在留外国人全体のちょうど4割にあたります。この方々は就労制限がなく、日本人とまったく同じ条件で警備員として雇用できます。夜勤も、正社員登用も、時間の上限もありません。
警備業の人手不足を外国人材で補うなら、ここが唯一かつ十分な母集団です。「特定技能が使えないから外国人採用は無理」というのは誤解です。
ただし、この母集団は年1.8%しか増えません
身分系在留資格は、外から供給される資格ではありません。長年日本に住み、資格要件を満たした人が積み上がっていく資格です。特別永住者に至っては前年比−2.6%と減少しています。
一方、日本で働く外国人全体は前年比11.7%増(厚生労働省・令和7年10月末)。全体が二桁で伸びるなかで、警備業が使える母集団だけが年2%未満でしか増えない。特定技能や技能実習を使える業種は送り出し国から新規に確保できますが、警備業にはそれができません。限られた165万人を、他の全業種と奪い合うことになります。
なぜ特定技能に「警備業」がないのか
特定技能制度は、人手不足が深刻な分野を国が指定し、その分野に限って受入れを認める仕組みです。介護、外食業、建設、宿泊などが対象になっていますが、警備業は含まれていません。
技能実習に代わる新制度として2027年4月に施行予定の育成就労制度についても、現時点で公表されている産業分野に警備業は入っていません。
2026年9月、警察庁が「警備業への特定技能の追加」の検討を開始しました
警察庁は2026年9月16日、「警備業への外国人材の受入れに関する検討会」の初会合を開催しました。検討事項には「警備業を特定技能制度及び育成就労制度の対象とし、外国人材を受け入れることについてどのように考えるべきか」が明記されています。報告書のとりまとめは2027年1月ごろの予定とされています。
ただし、これは検討が始まった段階であり、対象分野に加わることが決まったわけではありません。2026年9月29日時点で、特定技能・育成就労の在留資格で警備業務に従事させることはできません。
したがって、現時点で採用するなら身分系在留資格が前提になります。制度の動きは注視しつつ、いま埋めるべき人員は今ある制度で採る——という整理が現実的です。
「留学+資格外活動許可」は見解が分かれている
ここが、この記事でもっとも慎重に書かなければならない部分です。
留学生は原則として就労できませんが、資格外活動許可を得ることで、週28時間以内(在籍する教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内)のアルバイトが可能になります。コンビニ、飲食店、ホテルなどで留学生が働いているのは、この許可によるものです。
法文上、警備業は明文で除外されていない
出入国在留管理庁が示す資格外活動許可(包括許可)の条件は、「原則1週について28時間以内であること」および「活動場所において風俗営業等が営まれていないこと」です。
許可されない活動として明示されているのは、風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所における活動、および無店舗型性風俗特殊営業等に従事する活動です。
警備業は、この除外リストに列挙されていません。
しかし実務家の多くは「不可」としている
一方で、警備業に特化した社会保険労務士事務所は、外国人警備員の採用チェックリストに「資格外活動許可がある留学生を警備員として雇用していないか(資格外活動でも警備業は不可)」という項目を掲げています。警備会社が運営する媒体も、警備業は資格外活動では従事できない職種であるとして、留学ビザでは働けないと説明しています。
他方、行政書士事務所のなかには「資格外活動許可があれば週28時間以内で就労可能」とする見解もあります。
外国人採用の大手媒体は、この状況について「いずれが正しいかは法令上明確ではない」とし、採用前に入管または行政書士へ確認するよう促しています。
現時点で言えること
入管法および同施行規則、出入国在留管理庁の公表資料を確認する限り、警備業務を資格外活動から明文で除外する規定は見当たりません。しかし、実務上は「不可」とする取扱いが有力であり、見解の一致を見ていません。
なぜHR AGENCYは警備業への留学生紹介を行わないのか
当社は留学生アルバイトの紹介を主力サービスとしています。年間約1万人の留学生と接点を持ち、飲食・小売・ホテル・物流など多くの業界に人材をご紹介してきました。
それでも、警備業への留学生紹介は行っていません。
理由は単純です。判断が分かれる領域で、企業様に不法就労助長罪のリスクを負わせるわけにいかないからです。
不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、外国人に不法就労活動をさせた者だけでなく、「業として、外国人に不法就労活動をさせる行為に関しあっせんした者」も処罰の対象とします。つまり、紹介した側も名宛人になります。
さらに重要なのは、不法就労者であることを知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があると、処罰を免れない場合があります。現行の罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科可)です。さらに、令和6年の改正入管法(令和6年法律第60号)により、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金へ引き上げられます(2027年4月1日施行)。両罰規定(入管法第76条の2)により、行為者個人だけでなく法人にも罰金刑が科され得ます。
仮に将来、入管が「資格外活動でも警備業務は可」との見解を明確にすれば、当社は取扱いを開始します。しかし現時点では、企業様と留学生の双方を、判断の分かれるグレーゾーンに置くことはできません。
ご相談をいただいた警備会社様には、身分系在留資格の方の採用をご提案しています。
外国人を警備員として採用するとき、必ず確認する3点
① 在留カードは原本を、目視とアプリの両方で
コピーや画像での確認では不十分です。採用時には在留カードの原本を直接確認してください。
- 表面の「就労制限の有無」欄に「就労制限なし」と記載があるか
- 在留資格の種類と在留期限(永住者・特別永住者以外は期限あり)
- 出入国在留管理庁が提供する在留カード等読取アプリで真偽を確認
偽造在留カードは精巧化しています。目視だけで真正と判断した場合、過失を問われる可能性があります。
② 欠格事由の確認は日本人と同じ基準で
警備業法第3条第1号〜第7号および第14条の欠格事由は、国籍を問わず全員に適用されます。誓約書の取得、健康診断書、住民票(平成24年以降、外国人も取得可能)を整備してください。
なお、外国人の場合は本国での犯罪歴の確認が難しいという実務上の課題があります。自己申告に加え、可能な範囲で渡航歴・在留歴を確認することが望ましいとされています。
③ 新任教育20時間は外国人も免除されない
警備業法第21条に基づき、新たに警備業務に従事させる警備員には20時間以上の新任教育を実施しなければなりません。外国人であることを理由とした免除規定はありません。
日本語能力に応じて、教材の多言語化や通訳の手配を検討してください。教育記録の保管義務もあります。
なお、検定合格者や、過去3年以内に同種の警備業務に従事した経験がある方については、教育時間の短縮・免除の規定があります。外国人であることを理由とした免除がない、という点は変わりません。
ハローワークへの届出を忘れずに
外国人を雇い入れたとき、および離職したときは、ハローワークへの届出が義務づけられています(労働施策総合推進法第28条)。特別永住者と「外交」「公用」の在留資格を除く、すべての外国人が対象です。怠ると30万円以下の罰金が科されます。
まとめ:警備業の外国人採用は「身分系」から
整理します。
- 警備業法に国籍要件はない。外国人が警備員になること自体は適法
- 確実に採用できるのは身分系在留資格の方。約165万人という十分な母集団がある
- 特定技能・技能実習・技人国・育成就労は、2026年9月時点では警備業務に使えない(特定技能への追加は警察庁が検討中)
- 留学+資格外活動許可は見解が分かれる。リスクを取るべき領域ではない
- 採用時は「在留カード原本の確認」「欠格事由の確認」「新任教育の実施」の3点を徹底する
外国人採用は、制度を正確に理解したうえで進めれば、警備業の人手不足に対する現実的な解になります。逆に、曖昧なまま進めれば、事業許可そのものを失いかねません。
当社は、判断が分かれる領域について「大丈夫です」とは申し上げません。適法性に疑義のない方法だけをご提案します。
外国人採用の実務、何から始めればいいか
迷っていませんか
在留資格の確認から面接、契約書、入社後の在留期限管理まで。
採用の全工程を1枚にまとめた「外国人採用チェックリスト」を無料で公開しています。
警備業の外国人採用について
外国人採用 実務ライブラリ
出典:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(令和8年3月公表)第3表/出入国在留管理庁「資格外活動の許可(入管法第19条)」/警備業法(昭和47年法律第117号)第3条・第14条・第21条/出入国管理及び難民認定法第19条・第73条の2/出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正について」(法律第60号の施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日)/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の採用にあたっては、出入国在留管理庁または行政書士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
最終更新:2026年9月
監修
HR AGENCYの外国人材紹介
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