特定技能と技人国の違い|外国人正社員採用で押さえるべき在留資格

外国人を正社員として採用するとき、必ず比較されるのが「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」(技人国)です。
この2つは、似た制度ではありません。そもそも設計思想が正反対です。特定技能は「人手不足の分野で、現場業務に従事してもらう」ための資格。技人国は「専門知識や語学力を活かした、専門業務に従事してもらう」ための資格です。
そして2026年、両方に大きな運用変更がありました。特定技能は外食業分野で新規受入れが停止し、技人国は言語能力の証明が求められるようになりました。制度は動いています。

この記事の結論

  • 特定技能は現場業務、技人国は専門業務。任せたい仕事から逆算して選ぶ
  • 技人国で単純作業を主たる業務にすることはできない。更新時に不許可となるリスクがある
  • 2026年4月15日以降、カテゴリー3・4の企業ではCEFR B2相当の言語能力を証する資料が必要(対人業務の場合)
  • 日本語学校のみの卒業では、この「みなし」の対象外。JLPT N2等の取得が必要になる
  • 2026年4月13日以降、特定技能「外食業」は新規受入れが原則停止
  • 当社は登録支援機関ではありません。特定技能の受け入れ支援は行っておりません

特定技能と技人国は、設計思想が正反対です

候補者の人柄や能力がどれほど高くても、任せる予定の業務が在留資格に合わなければ、採用は進められません。入社後に業務を任せられない、あるいは更新時に不許可となる、という事態が起こります。

まず、2つの制度の位置づけを確認します。

比較項目 特定技能1号 技術・人文知識・国際業務
制度の目的 人手不足が深刻な特定産業分野で、即戦力となる人材を受け入れる 専門知識や外国文化に基づく思考・感受性を要する業務に従事してもらう
従事できる業務 分野ごとに定められた現場業務(介護・外食・宿泊・製造・建設など) 技術者、通訳、デザイナー、マーケティング、海外営業、企画など
単純作業 可(それが前提) 不可
学歴要件 なし 大学卒業または実務経験10年など、業務との関連性が必要
試験 技能試験+日本語試験 なし(ただし2026年4月から言語能力の証明が必要な場合あり)
入社後の支援 10項目の義務的支援が法的義務 義務なし
在留期間の上限 通算5年(1号) 上限なし(更新を重ねられる)
家族帯同 不可(1号)
受入れ人数の上限 分野ごとに閣議決定で設定 なし

「特定技能のほうが採用しやすい」と説明されることがありますが、正確ではありません。任せたい業務が現場作業なら特定技能しか選べず、専門業務なら技人国しか選べないのです。選択肢が2つあるのではなく、業務によって答えが一つに決まります。

技人国で最も多い失敗は「単純作業」です

技人国は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務、または日本国内の文化のなかでは育てられない思考・感受性に基づく一定水準以上の業務に従事することが要件です。

ここで頻発するのが、契約書と業務実態の乖離です。雇用契約書には「マーケティング」「通訳」と書いてある。しかし実際に店舗に配属され、日々の業務のほとんどが接客・調理・レジ打ちになっている。

この状態は、在留資格該当性を欠きます。更新申請の際に不許可となれば、その時点でその外国人は働けなくなります。企業にとっては戦力の喪失、本人にとっては在留の危機です。

採用前に一致させておくべき4つ

求人票、職務記述書、面接での説明、入社後の業務実態。この4つが一致するように設計してください。とくに新卒採用で「総合職」とだけ記載すると、業務が曖昧になります。初期配属の具体的な職務と、将来的なキャリアパスを文書化しておくことをおすすめします。

研修期間として一時的に現場を経験させることは許容され得ます。ただし、それが恒常的な業務になれば別です。「最初の1年は現場で修行」といった設計は、慎重に検討してください。

2026年4月15日、技人国に言語能力の証明が加わりました

出入国在留管理庁は、ガイドライン「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」を令和8年(2026年)4月に改定しました。2026年4月15日以降に受理される申請から、新たな運用が始まっています。

何が追加されたのか

所属機関がカテゴリー3または4に該当する場合、以下の2つが追加で必要になりました。

  • 所属機関の代表者に関する申告書(入管庁の参考様式)——申請の種類を問わず必要
  • 業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料——主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合

対象となるのは、在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請のすべてです。ただし更新については、以前から継続して同様の業務内容に従事している場合、提出を要しないとされています。

出入国在留管理庁「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」(別紙4/最終改定 令和8年4月)

主に言語能力を用いる対人業務等に従事する場合は、申請人がCEFR・B2相当の言語能力を有していることを前提とし、当該言語能力を有していない場合は、「一定水準以上の業務」に従事するものとは認められない、とされています。

所属機関がカテゴリー1または2に該当する場合であっても、審査の過程で資料の提出を求められる可能性があると明記されています。

カテゴリー3・4とは

技人国の申請では、所属機関を資本金・売上規模・法定調書合計表の区分などによって4つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに提出書類を変える運用が取られています。

カテゴリー1・2は上場企業や一定規模以上の法人。カテゴリー3・4は、中小企業や設立から間もない法人が該当します。多くの中小企業は、この追加書類の影響を受けます。

CEFR B2相当とみなされる4つのケース

入管庁は、以下のいずれかを満たせばCEFR B2相当の日本語能力を有するとみなすとしています。

みなしの根拠 基準 証明資料
日本語能力試験(JLPT) N2以上 合格証明書
BJTビジネス日本語能力テスト 400点以上 スコア証明書
日本の大学の卒業 卒業していること 卒業証明書
日本の高等専門学校・専修学校(専門課程) 修了していること 修了証明書

見落とされがちな点:日本語学校は対象外です

ここが実務上、最も重要な落とし穴です。

学校教育法上、一般的な日本語学校は「各種学校」に分類されます。専修学校ではありません。したがって、日本語学校のみを卒業した元留学生が技人国へ変更申請する場合、対人業務に従事するのであれば、別途JLPT N2等の取得が必要になります。

「日本の日本語学校を出ているのだから日本語は問題ない」という感覚は、この運用では通用しません。留学生アルバイトから正社員登用を検討している企業は、本人の学歴と保有資格を早い段階で確認してください。

母語での通訳なら安全、とも限りません

入管庁が公表した不許可事例があります。本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が、日本の旅館において外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請しました。しかし当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており、その言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することが立証されなかったため、母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められず、不許可となっています。

なお「業務上使用する言語」とあるとおり、対象は日本語に限りません。中国人を中国語通訳として採用する場合など、母語を業務で使用するケースでは、通常は本国の大学卒業証明書等で言語能力が立証されているとみなされる運用です。

派遣形態にも追加要件があります

2026年3月9日の申請分から、技人国の在留資格を持つ外国人が派遣契約に基づいて就労する場合にも、追加資料の提出が求められる運用に変更されました。申請時点で派遣先が確定していること、派遣元・派遣先双方の誓約書などが必要になります。

2026年、特定技能にも大きな変更がありました

特定技能制度では、分野ごとに「受入れ見込数」という上限が閣議決定で定められています。この上限に近づいたと見込まれる場合、法務大臣が在留資格認定証明書の交付停止措置を発動できます。

そして2026年4月13日以降に受理された申請から、外食業分野の特定技能1号の新規受入れが原則停止となりました。制度創設以来、分野の受入見込数に到達して新規受入れが停止されたのは、これが初めてのケースです。

止まったのは新規受入れのみです。すでに外食業分野で働く特定技能1号の在留期間更新、分野内での転職、特定技能2号への移行は引き続き可能です。

詳細は特定技能「外食業」が新規受入れ停止|飲食店が今すぐ取れる代替策とはで整理しています。

他分野でも同じことが起こり得ます

受入れ見込数の上限は、すべての分野に設定されています。飲食料品製造業、介護、工業製品製造業なども例外ではありません。特定技能を前提とした採用計画を立てる際は、その分野の上限消化状況を確認してください。「いつでも採れる制度」ではなくなりました。

選ぶのは「人」ではなく「業務」からです

特定技能と技人国の選択は、候補者本人の希望だけで決めるものではありません。順番を守ってください。

  1. 業務内容を具体化する——何を、どのくらいの割合で任せるのかを書き出す
  2. 該当し得る在留資格を確認する——現場業務なら特定技能、専門業務なら技人国
  3. 候補者要件を定義する——学歴、実務経験、言語能力の証明可否
  4. 募集・選考を行う

この順番を逆にすると、「良い人を見つけたが在留資格が合わない」という事態になります。とくに②を飛ばして④から始めると、内定を出してから在留資格の壁にぶつかります。

当社が対応している範囲

株式会社HRエージェンシーは、厚生労働大臣の有料職業紹介事業許可(13-ユ-317049)を受けた人材紹介会社です。

当社は登録支援機関ではありません

出入国在留管理庁の登録支援機関としての登録は受けておらず、特定技能の受け入れ支援は行っておりません。当社が専門としているのは、技術・人文知識・国際業務による専門職正社員の紹介(Wajob Pro)と、留学生アルバイトの紹介(Wajob)です。

特定技能をご検討の場合は、出入国在留管理庁が公開する「登録支援機関登録簿」から、お近くの機関をお探しください。

よくある質問

特定技能と技人国、どちらが採用しやすいですか

この問いの立て方自体が、判断を誤らせます。任せたい業務によって、選べる在留資格は一つに決まるためです。

現場業務が中心なら特定技能しか選べません。専門性や語学・企画業務が中心なら技人国しか選べません。「採用しやすいほう」を選ぶのではなく、「業務に合うほう」を選んでください。

技人国で店舗業務はできますか

店舗マネジメント、多店舗の統括、本部でのメニュー開発やマーケティングであれば可能です。しかし、接客・調理・レジといった現場作業を主たる業務とすることはできません。

「専門業務が8割、現場が2割」と説明していても、実態が逆になっていれば更新時に問題となります。業務時間の配分まで含めて設計してください。

日本の大学を卒業していれば、JLPT N2は不要ですか

はい。日本の大学を卒業していること、または日本の高等専門学校・専修学校の専門課程を修了していることが証明できれば、CEFR B2相当の言語能力を有するとみなされます。卒業証明書を添付してください。

ただし日本語学校(各種学校)の卒業は対象外です。また、海外の大学で日本語を専攻していた場合も、みなしの対象にはなりません。

当社はカテゴリー1です。言語能力の資料は不要ですか

申請時の提出は省略できます。ただし入管庁は、カテゴリー1または2であっても審査の過程で資料の提出を求める可能性があると明記しています。準備しておくに越したことはありません。

そもそも、CEFR B2相当の言語能力を要するという要件自体は、企業のカテゴリーによって変わるものではありません。カテゴリー分けは提出書類の運用ルールであって、在留資格該当性の基準ではないためです。

内定後に在留資格を変更できますか

条件を満たせば変更申請を行えます。ただし審査があり、不許可となる可能性もあります。入社時期から逆算し、余裕を持って準備してください。

とくに2026年4月15日以降は、対人業務に従事する場合の言語能力証明が加わっています。JLPT N2の取得が必要と判明してから試験を受けるのでは、入社に間に合わないことがあります。内定を出す前に、本人の学歴と保有資格を確認してください。

まとめ

  • 特定技能は現場業務、技人国は専門業務。設計思想が正反対で、業務によって答えは一つに決まる
  • 技人国で単純作業を主たる業務にすることはできない。契約書と業務実態を一致させる
  • 2026年4月15日以降、カテゴリー3・4の企業では代表者申告書が必須。対人業務ならCEFR B2相当の証明も必要
  • CEFR B2相当のみなしは、JLPT N2以上/BJT 400点以上/日本の大学・高専・専修学校専門課程の卒業
  • 日本語学校のみの卒業は、みなしの対象外。JLPT N2等の取得が必要になる
  • 2026年4月13日以降、特定技能「外食業」は新規受入れが原則停止
  • 採用は「業務内容の具体化 → 在留資格の確認 → 候補者要件の定義 → 募集」の順で進める

制度は動いています。2026年だけで、技人国には言語能力の要件が加わり、派遣形態に追加要件が課され、特定技能では初の受入れ停止が発動されました。昨年の常識が、今年は通用しません。

任せたい業務から、
採用できる在留資格を整理します

「この業務は技人国で任せられるのか」「N2は必要か」——
採用の前に確認すべきことを、一緒に整理します。
専門職正社員の採用は Wajob Pro、留学生アルバイトは Wajob が対応します。

在留資格について相談する

ご相談は無料です。特定技能は取り扱っておりません

出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」/同「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」別紙4「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」・別紙5「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」(最終改定 令和8年4月)/同「申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年2月24日)/出入国在留管理庁・農林水産省「特定技能外食業分野における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日)/出入国管理及び難民認定法/学校教育法

免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。在留資格の該当性判断は、業務内容・学歴・職歴等の個別事情によって異なります。制度は改正される場合があります。実際の申請・採用判断にあたっては、出入国在留管理庁の最新の公表情報、または申請取次行政書士等の専門家にご確認ください。

当社について:株式会社HRエージェンシー/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-317049。登録支援機関の登録は受けておりません。

最終更新:2026年7月

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監修

HR AGENCY(外国人採用支援サービス)

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